123話 俺はまだ頑張れる! 頑張れる! 頑張れるっつってんだろぉ!!
123話 俺はまだ頑張れる! 頑張れる! 頑張れるっつってんだろぉ!!
「ふんっ。確かに俺じゃお前は殺せねぇ。俺が、この刀を振り回したところで、お前には傷一つつけられないだろう。……だが、勝敗は別だぞ。なんせ、こっちには、タイムリープという、別格の切り札があるんでねぇ」
そう言いながら、
センは、『最初から手の中に握り込んでいたカギ』を、より一層ぎゅっと握りしめて、
「頑張れるんだよぉ! 俺はまだなぁ!」
まあまあ大きな声で、しっかりと宣言する。
タイムリープが出来る以上、敗北はありえない。
どんなにヤバイ状況に陥っても、問題なく処理できる。
そう思っていた時期が、センさんにもありました。
……が、しかし、鍵は反応してくれなかった。
センの覚悟を受けても、うんともすんとも言わない。
その現実を受けて、センは、
「あ?! ちっ……少しでも言い回しを変えたらあかんのかい……鬱陶しいなぁ。……はいはい。『俺は、まだ、頑張れる』!! これでいいんだろう?」
今度は、しっかりと、いつも通り、宣言したのだが、しかし、
「……ん? え? なんで?」
まったく反応してくれない。
うんともすんとも言わない現状に変化は生じない。
鍵は、センの宣言を、完全にシカトしている。
返事がない。
ただの鍵のようだ。
「なんで、なんで、なんで、え、はぁあああ?! え、どういうこと?! 頑張れるって! 俺、頑張る! オーケー?! オーライ?!」
焦って、何度も、『頑張る』『頑張る』『頑張るったら!』と無限連呼するセン。
しかし、鍵は、結局、うんともすんとも。
その様子を見た星霜幽珀斗が、
「もしかして、何かアイテムを使おうとしているのか?」
「ああ、そうだよ!! とびっきりのアイテムを使おうとしてんのに発動しねぇ! なんでだ?!」
「この空間では誰もアイテムを使用できない。貴様も私も。誰も。そういうアリア・ギアスがかけられている」
「……ふぇぇ?」
「アリア・ギアスって……なんすか……?」
「覚悟と引き換えに対価を得る、世界との契約」
「……制約と誓約みたいな感じかな……で、この空間は、アイテム禁止のルールと引き換えに……何が強化されてんの?」
「さあ、それは知らん」
「……あ、そう。まあ、いいや。ところで、どうやったら、ここから出られるかな?」
「私を倒せば出られる。それ以外に方法はない」
「……あ、なるほど……ようするに、一言でいうと、詰んでる、と。……はは……いやぁ、まいったなぁ、ははは」
センは、頭をかきながら、
(カンツを呼ぶか? ……呼んだところで、また、同じように、レッドカード食らって退場になるだけじゃね?)
その未来が見えてしまったセンは、
しかし、
「一応……ためす……か」
どかっと座り込み、親指を噛んで、地面にサッとジオメトリを描く。
そして、刀で、
「ぐんうぅううう!!!」
自分の足を切り落とし、
オーラで止血してから、
「ぐっ……む、無敵ゴリラ、きてくれぇ!!」
と、願うが、
「……えぇ……こないんだけどぉ……なんでぇ……」




