122話 か、カマキリまで……許さん……許さんぞ……
本日の2話目です。
122話 か、カマキリまで……許さん……許さんぞ……
センエースオールスターズは、一気に星霜幽珀斗のHPを削りころうと奮闘するも、
「治癒ランク17」
えげつない魔法を使われてゲンナリ。完全に回復する星霜幽珀斗。
「普通、こういうのは、『ランク10』とかが最高の値じゃねぇのかよ、ふざけやがって……なんだ、17とか15とか、ふざけんな……まさか、魔法のランクは無限です、とか言わないだろうなぁ……」
ここまでは、超高位の魔法を使われていなかったので理解できていなかったが、
お察しの通り、魔法のランクは無限にある。
10など、むしろ低い方。
この世界の規模は、全てが膨大。
「重光槍ランク16」
時折、こうして強力な魔法を使われる。
なかなかえぐい魔法なのだが、
溜めが長いし、星霜幽珀斗の動きが微妙に遅いので、どうにか回避することができていた。
しかし、時間をかけて、じっくりと足を削られたことで、
「ぐぅう!!」
エルダーワンダーナイトに直撃。
サクっと一体を持って行かれた。
一度フォーメーションが崩れると後は脆いもので、もう一体のエルダーワンダーナイトもサクっと殺された。
「どわぁぁ!! 頼みの綱のエルワン兄弟がああ! 終わったぁあああ! 詰んだぁああああああ! ぴぎゃあああああ! あと、残っているのは、俺というザコと、鬼と、カマキリだけぇえええ! 無理だぁああああ!」
嘆いている間に、トーキが処理された。
ほとんど虫の息だったので、撫でるように殺された。
スライムは先ほど、異次元砲を放ったのですでに堕ちている。
……という認識が成立するのと同じタイミングで、ネオカマキリも頭を吹っ飛ばされて、お亡くなりになった。
こうしてセンエースオールスターズ、完璧に壊滅。
残ったのは、舞い散る閃光、ただ一人。
センは、地面に落ちている『トーキの刀』を拾いながら、
「こ、このやろう……俺の大事な下僕たちを、次から次へと……よ、よくも……か、カマキリまで……許さん……許さんぞ……」
どうにか、怒りを膨らませて、スーパー第一アルファ人に覚醒しようと画策するも、そう都合よくいかないのが世の常。
ちなみに召喚獣が使っている武器などは、『魔法で精製されているもの(アストラルマジシャンの杖剣とか)』であれば、召喚獣の消失とともに消滅するが、トーキの刀のような、『召喚獣を構成している要素と同じもの』で形成されている『物理的な物体』は、召喚獣が消失しても消滅せずに残ることもある。
一人残されたセンを見つめながら、
星霜幽珀斗が、フラットな口調で、
「貴様が、それなりに高スペックな召喚士であることは認めよう。だが、こうなってしまえば、もう終わりだな」
そんな星霜幽珀斗の発言に対し、
センは、ニっと不敵に笑い、
「ふんっ。確かに俺じゃお前は殺せねぇ。俺が、この刀を振り回したところで、お前には傷一つつけられないだろう。……だが、勝敗は別だぞ。なんせ、こっちには、タイムリープという、別格の切り札があるんでねぇ」
そう言いながら、
センは、『最初から手の中に握り込んでいたカギ』を、より一層ぎゅっと握りしめて、
「頑張れるんだよぉ! 俺はまだなぁ!」




