121話 もう、これで終わってもいい……だから……ありったけを!!
今日は遅くなりそうなので、朝に2話投稿します。
年末の月末なので、何度か朝に2話投稿する……かもです。
本日の1話目です。
121話 もう、これで終わってもいい……だから……ありったけを!!
「……私は強き者にしか従わない。私を支配したければ、武を示せ」
センの前に現れたヤバそうなモンスターは、
強い語気で、そう言いながら、
『剣のような、杖のような、不思議な武器』を召喚し、
「私は、『星霜幽珀斗』……モンスターの最高位。大神級の星霊種」
力強く名乗りを上げると、
「私を従えたければ、自力で私を倒して見せろ。さあ、勇気をもって、かかってくるがいい」
そう叫び、襲いかかってきた。
センは、
「オメェの出番だぞ、エルダーワンダーナイト・ブラザース!!」
最もスペックが高いエルダーワンダーナイト2体を前衛に押し出し、
自分はその背後に下がりつつ、
「スライム! 異次元砲はまだ撃つなよ! トーキとカマキリぃ、エルダー兄弟のサポートを任せた!!」
オールスターズの指揮も板についてきた。
連携がうまくハマっている。
そして、何より、やはり、『回復も攻撃も可能な万能性能のエルワン二体』という構成がよかった。
全体のダメージコントロール、ヘイトコントロールが、ほぼ完璧。
現状のセンに可能な完璧な体勢。
星霜幽珀斗は、本当に相当な強者で、
全ての性能が、まんべんなく高い。
それは間違いのない事実なのだが、
やはり、どうしても、火力不足で『決定打』に欠ける。
全世界最強にしぶといゴキブリ『センエース』を殺そうと思えば、やはり、絶対的な火力が必須。
火力が足りないオールラウンダーは、センの前だと、ジリ貧に陥るしかない。
オールスターズを、なかなか切り崩せない星霜幽珀斗。
とはいえ、オールスターズにも、星霜幽珀斗を崩せる火力が不足しているため、押し切ることが出来ない
結果、なかなかダルい長期戦になる。
まっすぐな泥試合。
チマチマとお互いを削り合う持久戦。
戦局が明確に動き出したのは、戦闘開始から20分が経過したタイミング。
決定打になったのは、星霜幽珀斗のMP量。
星霜幽珀斗は、火力も体力も『そこそこレベル』にすぎないが、MPの総量には、なかなか目を見張るものがあった。
無尽蔵のMPから繰り出される上位魔法の数々。
ついには、対応しきれなくなり、トーキが吹っ飛ばされる。
ギリギリ生きているが、もう、元気よく戦うことは出来なさそう。
「ぐっ……スライム! 異次元砲だ!! お前は、もう、ここで退場していい! だから、ありったけをぉおお!!」
切り札を切って、突破口にしようとする。
後先を考えない、全力の異次元砲は、大神級のモンスターにも普通に通る。
「ぐっ!」
異次元砲を受けて、軽くヨロける星霜幽珀斗。
スライムの魔力がしょぼいので、『でっかいダメージ』とはいかないが、ヨロケを取るぐらいは流石に出来た。
そんな、軽くフラついている星霜幽珀斗に向かって、2体のエルワンが襲いかかる。
ついでにセンも、拳を固く握りしめて突貫。
一気に星霜幽珀斗のHPを削りころうと奮闘するも、
「治癒ランク17」
えげつない魔法を使われてゲンナリ。
完全に回復する星霜幽珀斗。
「普通、こういうのは、『ランク10』とかが最高の値じゃねぇのかよ、ふざけやがって……なんだ、17とか15とか、ふざけんな……まさか、魔法のランクは無限です、とか言わないだろうなぁ……」




