118話 今のセンエースオールスターズなら、あのブラマジぐらいは、普通に殺せるはず。
118話 今のセンエースオールスターズなら、あのブラマジぐらいは、普通に殺せるはず。
「やはり、戦いは数だよ、兄貴ぃいい!」
などと叫びながら、センは、スライムを6体召喚して、
「とにかく、みんなで異次元砲大作戦!! いくぞぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
禍羅魅神鬼を呼び出すや否や、
「「「「「「異次元砲!!!」」」」」」
6体のスライムが一斉に異次元砲を発射。
6つの照射にぶち抜かれた禍羅魅神鬼。
「終わった……なにもかも……」
と、センが勝利を確信して、風呂に入りそうになった――直後のことだった。
「驚いたな。異次元砲を撃てるスライムとは」
「え、なに、そのバリア……その意味不明な『謎バリア』は『ゴリラと共鳴してバグった時だけ』の限定技じゃねぇの……?」
センは知らなかったが、
この『特注の禍羅魅神鬼』が装備している武器には、
『致死のダメージを受けそうになった際、自動的に、ドリームオーラが展開する』
という、とんでもない特殊効果が付与されていた。
『神に調整された神器』とかなら、『その手の追加効果はむしろ当たり前』だが、ポップしたモンスターが、そのような魔法武器を所有していることは……まあ、『ない』とは言わないが、かなり稀。
「さて、次は、こちらの番かな」
そう言って、突撃の姿勢をとった禍羅魅神鬼。
センは、迷わず、
「頑張れる頑張れる頑張れる! 俺はまだ頑張れるぅううううううううううう!!」
秒での帰宅を宣言した。
★
目が覚めた時、
センは、
「ん……」
見知らぬ天井を見つめていた。
真っ白な空間。
「くそがぁ……カスみたいな、後出しチートをかましやがってぇ」
歯噛みしながら、
「まさか、あの野郎、『死にかける度に、無敵のバリアが発動します』とか、そんなふざけた仕様じゃねぇだろーなぁ……」
自分が口にした言葉に辟易するセン。
「可能性は普通にあるなぁ……もぉ……うざいぃ……」
頭を抱えるセン。
が、そこで、
「……つい、変に、意固地になっていたが、『あいつを殺さないといけない理由』は……特にねぇなぁ」
真理に気づいた。
「うん……あんなバグった鬼は無視だ。相手にするだけ時間の無駄。だってバグってんだもん」
そう自分を納得させると、
「……どうせだったら、色々と分からせてやって、俺の手持ちに、エースとして加えたいところだったが……うん、もういい」
人生の目標を軌道修正。
目標を、ここからの脱出のみにシフト。
「今のオールスターズなら、あのブラマジぐらいは、普通に殺せるだろ」
最初の頃に遭遇したモンスター『アストラルマジシャン』のことを思い出しながら、センは、親指をガリっと噛んで、ジオメトリを生成。
エルワン2体、ネオカマキリ1体、トーキ1体を召喚。
※ 先ほどの闘いでメモリが少し上昇しているので、この構成が可能となった。
センは、エルワンの剣を使い、腹を割いて、鍵を取り出し、
「治癒ランク3」
エルワンに回復魔法を使ってもらう。
一応、オーラで止血もできる状態だが、せっかく回復魔法が使えるのだから、使わない手はない。
「よっしゃ、レディ・パーフェクトリー! 準備は完璧に整った! これより、本格的に、この地獄遺跡から脱出する! 未来は僕らの手の中!! センエースオールスターズ、出撃ぃいい!!」




