114話 どうやら俺の才能の方が、血統が良かったらしい。
114話 どうやら俺の才能の方が、血統が良かったらしい。
センに才能はない。ただ、『200兆年繰り返してきた軌跡』が、『魂魄の髄に刻まれている』と言うだけ。……ただ、そんなことは知るよしもない、我らがセンさんは、
「ふははははは!! 見える! 見えるぞ! トーキ、そして、カマキリ! お前らの動きが止まって見える! げへへへへへへ! なんて凄まじい才能だ! どんどん強くなる! これが才能!! 素晴らしい!! 最初からわかる! 最初からできる!」
ガッツリと、調子にのっていく。
「これが天才の風景! なんて爽快な光景なんだ! 田中トウシの気持ちがわかる! いや、この才能の凶悪さは、田中トウシを置き去りにしている! はっはっは、残念だったな、トウシ。どうやら俺の才能の方が、血統が良かったらしい! お前みたいな、ただの頭でっかちとはワケが違う! 俺こそが真の天才!」
トーキ&ネオカマキリ相手に、そこそこ立ち回れるようになったことで、強い万能感に酔いしれるセンエース。
「この才能があれば、世界を狙える! くくくくく! まっていろ、世界! もうじき、お前は俺のものになる! この俺の才能のもとに、全ての命がひれ伏す!! この俺こそが! 全世界の支配者なのだ! つまりは、ハーレムキングなのだ! 俺の童貞が死ぬ日は、もうすぐそこまできている! ふはーっはっはっはっはっは!」
★
目が覚めた時、
センは、
「ん……」
見知らぬ天井を見つめていた。
真っ白な空間。
体を起こしたセンは、
ゆったりとストレッチをする。
ある程度、体の状態を確かめつつ、
筋肉に『今から動くぞ』と号令をかけてから、
「さぁて……それじゃあ、ピーピーうるさいカラミシンキに、挨拶しに行ってやろうかな」
トーキ&ネオカマキリとの鍛錬で絶対の自信をつけたセン。
トーキやネオカマキリのような、中級以下のモンスターが相手なら、なんとかノーダメ勝利も可能な状態にまで持っていった。
全くレベルアップしていないので、存在値的にはゴミのままだが、磨き上げた戦闘力は、存在値の低さを、大いにカバーしてくれる。
「見せてやろう。超エリート第一アルファ人の……圧倒的パワーを」
黒く笑みを浮かべて、
首をぼきぼきと鳴らしながら、
センは、禍羅魅神鬼と戦いに赴く。
「楽しみだよ、カラミシンキ君。絶望の中で泣き喚く君の姿を見るのがねぇ。くっくっく」
★
「ぴぃいいい!!」
ボッコボコにされたセンさんは、
絶望の中で泣き喚くことしかできない。
トーキ&ネオカマキリとの鍛錬をへて、
センさんは、だいぶ強くなった。
『戦闘力』は、比較にならないぐらい底上げされた。
それは間違いないが、
禍羅魅神鬼の存在値が高すぎて、
流石に対応しきれていない。
「く、くそぉおおお!! 閃拳!!」
磨き抜いた拳で、一発逆転を夢見るものの、はっきり言って、お話にならない。
そこそこのダメージにはなる。
『1ダメにもならない』とか、そんな悲惨な事にはならない。
しかし、禍羅魅神鬼は、『センの拳が、それなりに重たい』ということを、戦いの中で、即座に理解してしまったため、途中から、上手に受け流すようになってきた。




