110話 そこそこのモンスターを召喚。
110話 そこそこのモンスターを召喚。
「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」
センは、さっそく、自分の親指をガリっと噛んで、
地面にジオメトリを描くと、抜いた髪の毛を供えて、
「いでよ! なんかこう、刃物的な武器を持つ人型モンスターか、カマキリみたいな刃物系の身体的特徴を持つモンスターよ!」
と、細かい注文をつけながら、そう宣言する。
だいぶ『ふざけた召喚』だが、魔法陣は、センの声に応えてくれた。
髪の毛を媒体に、召喚されたのは、
「ぎぃ」
「きゅるる」
中級の鬼種モンスター『闘鬼』。
そして、
中級の虫種モンスター『ネオカマキリ』。
「おお、鬼が出てきた。当たりじゃない? カマキリの方はともかく……鬼はあたりだろ! さっきのスライムや、このカマキリが★1だとしたら、鬼の方は★3ぐらいあるんじゃない?」
などと言いつつ、鬼をじっくりと観察するセン。
「……刀を装備しているってのが、ナイスポイントだしねぇ。これで、禍羅魅神鬼に絡まれることなく、色々と安心して実験できる」
闘鬼が腰に携えている刀は、見た目、まんま日本刀。
「この刀、借りるぞ」
と言葉をかけると、鬼は了解の意を示すように首を縦に振った。
「なかなか話がわかるじゃないの。鬼は高レベルだから、『バッジゼロのトレーナーのいうことは聞きません』とかいう流れだったらどうしようかと思っていたが」
などと言いつつ、
闘鬼の腰から刀を抜いて、
「お、いい切れ味してそうだ」
そう呟くと、
自分の腹に刃を入れて、
鍵を取り出してから、
刀を闘鬼に返す。
そして、
「この傷を……ふさぐイメージ……」
腹の傷に意識を集中させて、
ダラダラと流れる血を止めようとする。
『逆に力を入れすぎて、ブシュっと血が溢れる』という、『安いお笑い』を挟みつつ、センは、
「オーラで膜を張る感じ……かつ、オーラで血小板を強化する感じ……」
何度か試してみたところ、
どうにか、オーラによる止血に成功した。
「……よし……これで、切り傷はどうにか対処できるな……バイキンが入ったりどうこうは、まったく対処できんが……いや、いずれはオーラで殺菌できたりすんのかな……できそうではあるんだよなぁ……体内で熱エネルギーに変換したり、白血球の性能を強化すれば……」
ぶつぶつ呟いている間、
闘鬼とネオカマキリは、ずっと直立不動で待機していた。
そんな二匹の存在を思い出したセンは、
「おっと、ほったらかしにして悪いな。えっと、お前らさぁ、喋れる? 自分の種族名とか言える?」
「……トーキ……」
と、だいぶカタコトな感じでそう答える闘鬼と、
「きゅる……」
と、言葉の意味は理解しているようだが、しゃべれないという意志を示すネオカマキリ。
「トーキ、種族名かな? オーケー。で、そっちのカマキリは意思疎通ができるのみと。ちなみに、トーキさんよぉ……お前、普通の会話はできるか?」
その問いに対し、首を横に振る闘鬼の姿を見て、
「なるほど。……『俺の言っていること』は、なんとかわかるが、『流暢に会話をする機能』はない。名前をいうぐらいでギリ……そういう知性レベルって感じか。禍羅魅神鬼ぐらいになると、流暢に会話できるけど、お前やスライムやカマキリぐらいのモンスターだと、『意思疎通をはかるぐらいが限界』と。なるほど、なるほど」
クソどうでもいいことですが、私の名前を、正式に変更しようと思います。
元ミリオンで、今はレイスという感じで、フワっとしておりましたが、
ミリオンの方で馴染んで下さっている読者様もいますので、
『閃幽零×祝百万部』で正式名称にします。
「ミリオンレイス」とまとめていただいてもかまいませんし、今までどおり、レイスでも、ミリオンでも、どう呼んでいただいたとしても、完全に、
「今の私」として正式……という形にします(*´▽`*)




