104話 アリが、ゴジラのツメをはぐ。
104話 アリが、ゴジラのツメをはぐ。
オーラと魔力を底上げして、
「轟烈閃化ぁああああ!!」
バッチバチの神気を放つ化け物カンツさん。
そのあまりにもえげつない波動に当てられて、センは漏らしそうになった。
ギリギリのところで失禁を我慢できたのは、センの根性が常軌を逸しているから。
まともな精神力では、こんな近くでカンツの怒りの波動に触れて、耐えられるわけがない。
「え、なに、あんた……そのバグったようなエグい感じ……どういうこと? え……もしかして、カンツさん……あんたって、神様とか、仏様とか、そう言う次元の何かしらだったりする?」
「ワシは、この上なく尊き神の王に仕える従属神!! 『神界の深層に根を張る最上位の神々』をも置き去りにした究極超神!! まあ、とはいえ、神の力に関しては、全て、果てなく尊き主から賜ったものだから、自慢は一切できんがな!! がはははははは!!」
大声でそう叫びながら、鬼に殴りかかるカンツ。
カンツの拳ですら、なぜかまったく壊れないバリア。
カンツは、
ズダダダダ!!
と、無限にバリアを殴り続けながら、
「硬いな! だが、だからと言って、諦めるなどと思うなよ!! 尊き主にあだなす悪神は、発見次第、即斬首と、ゼノリカの法で決まっている! 仮に法で縛られてなくとも、悪神関係の汚物を見つければ、消毒するがなぁああああ!! がはははははははは!!」
爆音の声量で笑いながら、
カンツは、ひたすらに、
無限に、
――殴り続ける。
その間に、
禍羅魅神鬼は、
「――さあ、詠おう。詠おうじゃないか。喝采はいらない。賛美も不要」
「主の尊き覚悟を穢すゴミぃいいい!! そのまばゆい表明は、『悪神の使い魔』ごときが口にしていいものではなぁああああああい!!!!!」
怒りのままに、
限界まで膨らませた拳で、
鬼のバリアを殴りつけた。
突き抜けた忠誠心と狂信が、カンツの拳に『限界を超えた力』をくれる。
ずっとそう。
カンツにとって主とはそういう存在。
どんな時でも、命を、まばゆく照らしてくれる、全世界一の光。
絶対的精神的支柱。
「だぁあああああっ!!」
ビシィッッ!!
と、バリアにヒビが入った。
これは偉業。
『このバリアを張った者』と『カンツ』の実力差は、実のところ、アリとゴジラぐらいある。
『カンツが、このバリアにヒビを入れる』というのは、
『アリが、ゴジラの爪をはぐ』というぐらいの異常事態。
凄まじい偉業なのは間違いない。
ただ、半手、遅かった。
「――私は、ただ、絶望を裂く一振りの剣であればいい」
カンツの拳が届く前に、禍羅魅神鬼は、ポエムを唱え終わった。
と、おなじタイミングで、
ビリッと、魔カードを破り捨てる。
すると、
禍羅魅神鬼の肉体が、
ブーンと音を立てて、
まばゆく、力強く発光していく。
それを見たカンツは、
「ぬぅ?! ば、バカみたいな存在値の上昇率!!! 不愉快な真似をぉおお!!」
右腕に、残っているオーラと魔力を全部こめて、
「亜異次元砲ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」




