103話 轟烈閃化。
103話 轟烈閃化。
困惑している禍羅魅神鬼に、センは、
「第一アルファ人である俺の召喚術をナメるなよ、カラミなんとか! 俺は、こちらにおわすカンツさんをも召喚してしまった化け物の中の化け物! スーパー第一アルファ人と言っても過言ではない何かしらだ! 今から、そんな俺のおそろしさの片鱗を、教えてやる! ……カンツさんがなぁ!」
そこで、センは、カンツに頭を下げて、
「と言うわけで、カンツさん、おなしゃーす!! しゃしゃしゃーすっ!!」
「がはははは! まあいいだろう!!」
と、笑いながらそう言うと、
カンツは、ゆったりとした歩調で、
禍羅魅神鬼の目の前まで歩き、
「貴様はどうか知らんが、ワシを召喚したのは間違いなく、あの小僧だ! 第一アルファ人であることから、だいぶ特殊な力を持っていることは間違いないだろう!」
そこで、カンツは、禍羅魅神鬼の肩に、ポンと手を置いて、
「今後は、あの小僧に従え。あの小僧のステータスはひどいもんだが、特別な資質を有しているのは間違いない。死なさん方がいいとワシは考える! と言うわけで、頼んだぞ、禍羅魅神鬼!」
「わ、私は強き者にしか従わなーー」
そこで、カンツは、禍羅魅神鬼の肩に置いている手に、ほんの少しだけ力を込めて、
「あの小僧はワシを召喚した! そんな小僧を侮ると言うことは、ワシを侮ると言うことだが……大丈夫そうか?!」
「……」
「返事をよこせ、禍羅魅神鬼! ワシも暇ではない!」
「……わ、わかった……」
「よし、頼んだぞ。では――」
禍羅魅神鬼ゲットだぜ、
の流れでフィニッシュを迎えようとした、
その直前で、
急に、禍羅魅神鬼の、
「うぶびぶぶんぶっ――」
――意識が飛んだ。
白目をむいて、泡を吹いて、
そして、明らかな無意識の中で、
「……ゼノリカ……天上の……接触を確認……そのルートは、許容しない……」
ぶつぶつと、ちいさな声でそう呟いた直後、
鬼の右手に、一枚の魔カードが出現する。
それを見たカンツは、
「むっ!」
目をギラリと光らせて、
そのまま、
「異次元砲ぉおおお!!」
禍羅魅神鬼が何かする前に、秒速で処理しようと照射を放った。
――この『禍羅魅神鬼』が『普通の大神級モンスター』だったら、カンツの一手で、間違いなく跡形もなく完璧に消滅していた。
しかし、どうやら、普通ではなかったようで、カンツの異次元砲を受けていながら、しかし、禍羅魅神鬼は無傷だった。
そして、
「悪鬼羅刹は表裏一体……」
何かをぶつぶつと呟いている。
ギリギリ、禍羅魅神鬼のポエムを聞き取ったカンツは、
「乖離バリアだとぉおお?! まさか、貴様、『悪神』陣営の回し者か! 性懲りも無く、主とゼノリカに歯向かうとは愚かなりぃいいいい!!」
オーラと魔力を底上げして、
「轟烈閃化ぁああああ!!」
バッチバチの神気を放つ化け物カンツさん。
そのあまりにもえげつない波動に当てられて、センは漏らしそうになった。
ギリギリのところで失禁を我慢できたのは、センの根性が常軌を逸しているから。
まともな精神力では、こんな近くでカンツの怒りの波動に触れて、耐えられるわけがない。




