90話 レベルアップでホ〇ミを覚えたいお年頃。
90話 レベルアップでホ〇ミを覚えたいお年頃。
目が覚めた時、
センは、
「ん……」
見知らぬ天井を見つめていた。
真っ白な空間。
体を起こしたセンは、
周囲を確認しつつ、
「……カギがトリガーっぽいな……」
自分の腹部に傷がないことを確認した上で、
「なんで、こんな『大事なカギ』が『腹の中』にあるかなぁ……ポケットに入れといてくれや……」
などと文句を口にしたが、
そこで、センは、
「ん? 待てよ。勝手に『握らなきゃダメだ』と思い込んでいたが……これ、別に、握らなくても、俺の肉体が鍵に触れていればOKなパターンもありえるか?」
と、その『気づき』に届いたセンは、
お腹の中に鍵があるのを確認してから、
「俺はまだ、頑張れる」
宣言してみた……が、
「くそ……ダメなんかい……しんど……」
心底ダルそうに、そうつぶやいてから、
「さて、最低限の検証は終わった……ここからどうするか……」
ぶつぶつと、未来を想う。
「チュートリアルで、あんな鬼をぶつけてくるところから、この作品が、フロ◯・ソフトウェアプレゼンツであることは、もはや疑いようがない」
イカれた難易度でプレイヤーの忍耐力を試しにかかってくる姿勢。
その常軌を逸した変態性に辟易しつつ、
「……『即死罠』系に引っかかる可能性を考慮すると……鍵は腹の中ではなく、常に、手の中に握りしめておきたいところ……だが、現状、腹を掻っ捌く以外に手段がない。回復する手段を探すのが最優先。できれば魔法で回復したいところだな……レベルアップでホ◯ミを覚えてくれるとありがたいんだが……」
現状では、まだ、『レベルや魔法というものが存在するかどうかもわからない段階』だが、『鬼が出てきたので、ファンタジー要素はあるだろう』という雑な推測のもと、センは、未来のプランを模索していく。
「レベル概念あって欲しいな……経験値用のスライムとか出てきてくれねぇかなぁ」
などと願望を口にしつつ、
センは、ヤクザキック壁開けからの扉超えで外に出ると、
「はい、宝箱は無視。お前みたいなウルトラミミック、2度と開けるか、ふぁっきゅー」
初見殺しの罠にノールックで中指を立てて華麗にスルー。
そのまま、遺跡の中を慎重に探索してく。
(武器、落ちてねぇかなぁ……できたら、ドラ◯エの『きせきのつ◯ぎ』的な魔法武器を拾えたら理想なんだけどなぁ……)
『回復できる武器』とかを発見できると、現状では、小躍りするレベルの歓喜。
(そんな激烈な幸運が俺の人生に起こることはないだろうなぁ……俺の運とか、良くも悪くもないから……)
などと、心の中でつぶやいていると、
そこで、
(おっと……)
バケモノの気配を感じて、
センは、物陰に隠れる。
気配の出所をそっと確認してみると、
もう、明らかにやばそうな『魔法使いっぽい格好の化け物』がいた。
(あのブラックマジシ◯ン、絶対にやばいよなぁ……)
ちなみに、センが視界にとらえたのは、
アストラルマジシャンという、王級のモンスター。
禍羅魅神鬼と比べれば、だいぶ劣る雑魚だが、それは比べる相手が悪すぎるだけで、王級モンスターは、ランクの低い世界では、大地震や大津波級のえげつない大災害。




