84話 完全敗北。
84話 完全敗北。
「ウギャギャギャオォオオオオオオオオオ!!」
理性を失った獣のように、狂った咆哮を上げていくセン。
「神速閃拳!!!!!」
膨大なエネルギーが乗った拳を、計算ゼロの暴走で、仮面男に叩き込んでいく。
その一手に対して、
仮面男は、
「おお、すげぇ火力だな」
特に焦った様子もなく、
丁寧にさばいていく。
「そのふざけた火力は、今の俺にも出せねぇ。エンジンがかかった時のお前は、本当にエグいな」
などと言いながら、
仮面男は、
「逆気閃拳!!」
センエースのオーラを逆流させてくる。
センは、自分の全部をひっくり返されたような錯覚に陥った。
本当に錯覚なのか、実は普通にひっくり返っているのか、それすらマジでわからなくなる大混乱の中、
仮面男は、さらに、
「龍閃崩拳」
どぎつい一撃で、
センの全部をぶっ壊そうとしてくる。
『これは、流石に気絶するだろう』と、
仮面男はもちろん、セン自身も思った。
『これほどまでの火力』をぶち込まれてしまえば、そりゃ、耐えられるわけがない。
死んでもおかしくない。
気絶はマスト。
どう足掻いても、ここで意識の方は終了。
誰もがそう確信した現状で、
誰もが目を疑う理不尽のショータイム。
ほぼ99%気絶しているセンが、
なぜだかは誰にもわからないが、
歯を食いしばって、その場に立っている。
立っているだけで済むなら、まだ可愛いが、センは、あろうことか、
「龍……閃……崩……」
踏み込み足に心を込めて、
固く握りしめた拳を、
「……拳!」
仮面男の心臓目掛けて叩き込んだ。
『死にかけのボロ雑巾』が放ったとは思えない、驚異的な一撃。
それをまともに受け止めた仮面男は、
「……今のは、痛かった」
聞き慣れたセリフを枕に置いてから、
「痛かったぞぉおおお!!」
そう叫びながら、
センとの距離を詰めると、
そのまま、
センを、ボッコボコのタコ殴りにしていく。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!! ウリィイイイイイイイイイイイイイイイ!!」
何度も、何度も、殺意のこもった拳を叩き込んでいく。
生命力を考えると、とっくの昔に死んでいるべきなのだが、センは、当たり前のように歯を剥き出しにして、大量の血を吐きながら、
「閃……拳……っ!」
無駄な抵抗を続ける。
その様を見て、
仮面男は、
「キモいなぁ……『人間失格』などという可愛い言葉で、このキモさを誤魔化すべきじゃない。『人間失格』ではなく『黒光害虫』に改名すべきだ。蝉原なんかより、よっぽど、お前の方がゴキブリらしい」
心底、気持ちが悪そうに、そう吐き捨てながら、
続けて、何度も、何度も、何度も、
センを叩き潰していく。
なっかなか気絶しないセンに、
心底イライラしながら、
仮面男は、
丁寧に、根気強く、
センを叩き潰す。
センは、最後の最後まで抵抗しようとしたのだが、
仮面男の、
「永久閃光・EZZパニッシャー」
『えげつないカスタムが施された封印系の魔法』を喰らったことで、センのコアオーラは、ついに、ガチっと封印される。
そのまま、体が、べちゃっと『踏み潰されたトマト』みたいに、ざんなく潰れて、出来の悪いスライムみたいになった。




