83話 『驚異の仮面男』VS『センエース』
83話 『驚異の仮面男』VS『センエース』
突如、遭遇した仮面男にビビり散らかすセンさん。
(激しいほどの静寂……ここまで『ドッシリと地に足ついた達人』は、これまでの神生で、一度として見たことがない……)
これまでにも、『強者』は散々見てきた。……が、今、目の前に立っている『こいつ』は、これまでに出会ってきた連中とは土台が違った。もう、本当に別格。比べるのも失礼なぐらい、今、センの前に立っている仮面男は超越的だった。
(……あいつ、ワシより強くねぇ?)
ネタをブっ込みはしたものの、
それは冗談ではなく、
ガチで普通にそう思った。
センは密かに、オーラと魔力を底上げしていく。
ぐつぐつと底上げしつつ、
「おめぇ、つぇぇなぁ。オラ、ワクワクしてきたぞ」
などと、試しに声をかけてみた。
すると、仮面男が、ボソっと、
「もう忘れたな……俺、なんか言ったかな……」
などと、訳のわからないことを呟く。
仮面の効果なのか、明らかに加工されている声だった。
仮面男は、
数秒ほど、何かを考えている様子だったが、
「もういいや。知らん」
そう言い捨てると、そのまま、瞬間移動で、センとの距離を詰めて、センの腹部に向かって、
「閃拳!!」
と、叫びながら、豪快な正拳突きを叩き込んできた。
「うぶごほっ!!」
これまでの神生で、センエースは、何度も閃拳を受けてきたが、
これほどまで重たい閃拳を受けたのは生まれて初めてだった。
「うぶっ……うごへっ……」
よろめきながら、ふらつきながら、
ついには、おえぇえっと嘔吐する始末。
「て、てめぇ……」
センは腹部を両手で押さえながら、
「ど、どこのP型か知らんが……人の技をパクっているだけのくせに……200兆年を積んだ俺より練度が上って、どういう屁理屈だ、ごらぁ……」
「深淵閃風」
センの文句をシカトして、
仮面男は、センの足を払う。
深淵閃風の練度も、普通にセンを超えていた。
そのまま、仮面男は、
拳を強く握りしめて、
「爆竜閃拳」
火力全振りの重たい一撃を、
センの顔面に、思いっきり叩き込んだ。
あまりの火力にクラクラするセン。
仮面男は、すでにノックアウト寸前のセンにも手を緩めず、
「神速閃拳」
小技の連打で丁寧な削りを入れてから、
「龍閃――」
「ちょ、まっ……」
「――崩拳!!」
ドガンと、爆裂な必殺技を叩き込まれて、
センは、普通に意識を飛ばされかけた。
完全に気絶してしまう寸前、
センの脳裏に、UV1とアモンの顔が浮かんだ。
このまま自分が負けたら、
この仮面男は、
あとからやってくるあの二人を、
普通に殺してしまうかもしれない。
この凶悪に強い仮面男が相手だと、
あの二人は、わずかも抵抗できずに、確実に殺される。
そう思った瞬間、
脳にゴワっと強い熱が宿る。
気絶しかけていた体と心が、
ギギギギギギギギィイイイイ!!
と、謎の爆音を上げて、
異常なエネルギーを大量に生成していく。
奥歯を無限に噛み締めて、
センは、
「ウギャギャギャオォオオオオオオオオオ!!」
理性を失った獣のように、
狂った咆哮を上げて、
「神速閃拳!!!!!」
膨大なエネルギーが乗った拳を、
計算ゼロの暴走で、
仮面男に叩き込んでいく。




