82話 隠し扉。
82話 隠し扉。
舞い散る閃光センエースは、瞬間移動で、リスルーに向かい、何かしら、『厄介なバグ等が発生していないか』と、豪速で隅々まで調査していく。
「俺の人生的に、ここらで、ヤベェのが湧いて、あいつらを八つ裂きにするという可能性も十分にあり得るなぁ、と思っていたが……大丈夫そうかな……」
あらかた調査を終えたところで、
センは、ボソっとそうつぶやいた。
一応、念のために、
『鉄心コールで強力なバフをかけたディメンションアイ』で、この遺跡に問題がないか確認。
すると、
「ん……なんだ……?」
妙な反応を発見してしまう。
そのイビツな反応を追ってみると、
「ほう。隠し扉ですか……たいしたものですねぇ」
しんどそうにため息をつきつつ、
「昔、ここに来た時も、一応、ディメンションアイは使った……あの時には、確実に、何も見つけられなかった……ということは、可能性は二つ。『俺がこの世界を去った後に設置された隠し扉である』という可能性と、『今の俺のディメンションアイじゃないと看破できない扉』って可能性……前者ならともかく、後者だとしたら、だいぶウザそうだねぇ……」
そう言いながら、
センはストレッチをして、
「まさか、ここだけじゃなく、世界中のあちこちに、今の俺の目じゃないとわからない何かしらがあるとか言わないだろうなぁ……」
などとぶつぶつ言いながら、
センは、その扉に手を当てて、グっと力を込めた。
グゴゴ……と音が響いて、その扉は開かれる。
扉の中に入ってみると、
そこには、『何もない、真っ白な広い空間』が広がっていた。
「恐ろしく強固な限定空間……俺でなきゃ見逃しちゃうね」
いつものセリフでシャレていきながら、
センは周囲を念入りに確認する。
(この異質な強度……確実にランク10000以上のクオリティ。この空間を創った者は、確定で、存在値数千兆〜数京はあるな。……はしゃぎやがって……)
などと大雑把な推測を立てていると、
そこで、バチバチっと音がして、
気づいた時には、次元に穴が空いていた。
そして、奥から、
――『仮面を被った中肉中背の男』が現れる。
(……存在値が見えねぇ……やばいな……あの仮面野郎、間違いなく、存在値数京クラスのバケモン……)
センのプロパティアイを拒絶するフェイクオーラ。
その段階で、ただ者じゃないのだが、そんなこと以上に、
(マジかあいつ……)
センは震えた。
目の前に立つ仮面野郎の『身のこなし』『所作』『一挙手一投足』、その全てが、『バグってんのか?』ってぐらい、尋常ではなかったから。
この『強者の雰囲気』だけは、フェイクオーラでも隠しきれない。
弱者を騙すことはできても、センほどの達人の目は誤魔化せない。
(激しいほどの静寂……ここまで『ドッシリと地に足ついた達人』は、これまでの神生で、一度として見たことがない……)
これまでにも、『強者』は散々見てきた。
蝉原やソルやP型やトウシや元主人公たち。
どいつもこいつもハンパない達人だったが、今、目の前に立っている『こいつ』は、そういった連中とは土台が違った。
もう、本当に別格。
比べるのも失礼なぐらい、今、センの前に立っている仮面男は超越的だった。
(……あいつ、ワシより強くねぇ?)
表紙の評判が悪かったので、
現在、修正しております。
明日には、修正した表紙をお見せできると思います。




