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永久閃光A章 この上なく尊き命の王センエース。

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80話 臨機応変の捉え方。


 80話 臨機応変の捉え方。


「――『とびっきりのスペシャリスト』である僕やあなたなら、緻密なマニュアル通りのミッション攻略も、容易にこなしてみせるでしょう。しかし、最終的には、天下『以下』の『配下級だけでの攻略』も視野に入れたマニュアル制作を義務付けられている以上、『最低限度の資質しか持たない無能』でも対応できる内容にすべきだと考えます。そうなりますと、ある程度、大雑把な骨組みにすべきというのが僕の見解です」


「無能に合わせたマニュアル作りではなく、マニュアルに合わせて無能が研鑽を積むべき。そうでなければ、成長に至らない。無能を甘やかす方式など愚の骨頂」


「UV1は、僕より年上なのに、どうして、そう世間知らずなんですか? 『将来的な改善が見込める努力家』を無能とは言いません。そういう連中は原石と呼び、『どう足掻いても使い物にならないゴミ』を『無能』と呼ぶのです。そして、世の中には、どうしようもないゴミの方が圧倒的に多い。その『圧倒的多数を戦力として数えることを可能とするマニュアル』……それこそが、僕らに課せられている難題だと、僕は認識しております」


(さかしらにリアリストを気取りたがる……その幼さを是正したいところだが、また殴り合いになりそうだな)


 『自分は正しい』という、強い信念やプライドや哲学を持っている者同士の対話は、えてして、面倒極まりない袋小路に陥りがち。


 どちらかが、際立って愚かであれば、

 または、片方の意思が薄弱であれば、

 スムーズにコトが運びやすいのだが、

 現状はどっちもプライドの塊なので、

 バチバチのレスバが止まらなくなる。


「……『圧倒的多数を戦力として数えることを可能とするマニュアル』を作成するためには、それこそ、綿密な業務フローを作成するべきだ。アモンが言う無能に自由行動を任せても、悲惨な結果にしかならない」


「自由にやらせろなどとは一言も言っておりません。行き先は示します。地図とゴールと中間目標は与えます。が、それ以外の臨機応変な対応が必要となる道中を個々の処理能力に任せるのです。道中まで複雑化すると、必ず、立ち往生してしまう者が出てきます。無能とはそういうものです」


「臨機応変に対応できる者を無能と定義付ける意味がわからない。私の視点では、『臨機応変な対応という高度な処理能力を持たない者』を『無能』と呼ぶ」


「臨機応変に『適切な解答』を出せと言っているのではなく、それぞれの状況で、『最低限の処理』しかできなくとも、どうにかゴールに辿り着けるフローチャートを作成すべき、というのが僕の結論です。道中での厄介ごとに対して、こうしろ、ああしろと、膨大なマニュアルを設定したところで、無能が、それを完璧に理解して実行できるとでも? あり得ないんですよ。『最低限の成果』か『失態』を前提にすべき。僕の認識だと、今回のマニュアルで必要なのは、『有能な秀才に正解を示すもの』ではなく、『無能に対して、ミスをどうカバーするのかを示すもの』です」

 

 アモンのその意見には納得できる点があったのか、UV1は、スンと黙って思案に耽る。


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