77話 常識的厨ニ発想。
77話 常識的厨ニ発想。
……アモンとUV1、
この二人は、共に、センエースを愛している。
どちらもセンエースを『絶対に揺るぎない頂点』と認識し、『センエースのためなら何でもできる』と腹を括っている。
魂の深部、その芯が重なっている二人だが、しかし、方向性はまるで違った。
UV1は、光になりたいと思っている。
センエースを飾る剣、宝石になりたい。
……その想いは、実のところ危ういけれど、でも、その分だけ、とても眩く輝いている。
『センエースの輝きの一部になれたら、どんなに幸福だろう』と夢を見ている。
対して、
アモンは、『センエースの領域にたどり着くこと』が天才として生まれた自分の使命であると考えている。
この辺は、まだまだガキであるが故の、いわゆる『常識的厨ニ発想(センのように狂った厨ニではなく、常識の範囲に収まる上品な厨ニ)』とも言うべき幼稚思想。
尊き主に才能がないのは事実。
それをアモンは受け止めている。
神を盲目的に信仰している者の中には、『センエースは超天才』と誤認している者もいるが、アモンはそうじゃない。
アモンは、むしろ、その認識は不敬であると考えている。
センエースは、努力の鬼ではあるが天才ではない。
努力の量がいかついだけの凡人。
ならば、つまり、極論、
――『天才である自分』が『尊き主』と『同じ努力』をすれば、『果てなき主以上の存在』になれる。
もちろん、主と同じ努力はできない。
あれは異常。
あれと同じことが出来る者は存在しない。
ただ『できる限り近しい努力』を積んで、『存在値』で主を越えることができれば『主に余計な仕事をさせること』がなくなる。
主は存在してくれればいい。
『世界の支柱として座してもらう』……それだけでいい。
あの尊き主に、それ以外を望むのは不敬。
……と、アモンは考えている。
主の『最も特筆すべき偉大さ』は『強さ』ではなく、その魂の美しさ。
あの美しさが、ゼノリカの中心であり続ける限り、世界は安泰である。
ゼノリカの永久不滅を維持するためには、『センが死ぬ可能性』を『極限まで削ること』が大事だ――と、アモンは考える。
対して、
UV1は、『自分など剣の一つになるのが精々』だと思っている。
努力はもちろん限界以上にやる。
しかしセンと同じこと……同じ領域は『絶対にムリだ』と認識している。
諦めているとかではなく、同じことができるものは存在しない、という事実に対する確信が強いだけ。
それもまた信仰ゆえ。
アモンの目標など、ガキの妄想に過ぎないと考える。子供が『ガチの仮面ライダーになりたい』と言っているようなもの。
バカなクソガキの迷想でしかない。
UV1は、アモンの夢を、そう認識している。
そこらのガキが不相応な夢を見るのは別にいい。
だが、正式なる『ゼノリカの天下』に属する修羅が、いつまでも無邪気に『仮面ライダーになりたい』などと宣っているのは、なかなかの大問題と言えるだろう。
正直、アモンを見ていると、普通にイライラする。
厳格な大人の職場に、園児の妄想を持ち込むな。
それがUV1の視点。
……対して、
アモンは、UV1が『挑戦もせずに諦めている』と感じている。
だから心の中で見下す。
その心情がわからないほどUV1はバカじゃない。
この二人が必要以上にピリピリしてしまうのは必然だった。
『神を知りながら、成長できないアモンにイラつくUV1』
『神を知りながら、夢を見れないUV1にイラつくアモン』
どちらが間違っているとか、どっちが正しいとか、そういう問題ではない。
それぞれの意見と夢と未来があるという、たったそれだけの、当たり前の話。
来年1月から発売予定の自作コミカライズ版ですが、
以前から言っている通り、毎月二周目の土曜日に販売し、
毎月、発売日に、
「一日10話投稿」のイベントを敢行しようと思っております!
今回に限っては、流石に、時間的厳しさから、
「本編の方でのイベントはやめておこう」と思っていたのですが、
私の中のセンエースが「まだだ、もっとよこせバルバトス」とうるさいので、
毎月「1日10話投稿」のイベントを行うことに決めました。
舞い散る閃光「え……言ってない……え? なんで、俺のせいにしたの? あんたが勝手にやっていることなのに……てか、無理だろ。今の段階で、ギリギリのパンパンなのに……」
確かに、時間的に厳しいです。
しかし、私の中のセンエースが「とまるんじゃねぇぞ」とうるさいので――
舞い散る閃光「だから、言ってないって。この人、おかしくなってるよ、ほんと。やばいって」
おかしくなるぐらいじゃないと届かない……そんな世界に、お前と一緒にいく。




