68話 第十アルファ人は無神論(むしんろん)種族だ! なめるなよぉ!
本日の2話目です。
68話 第十アルファ人は無神論種族だ! なめるなよぉ!
……場が整ったところで、今回の儀典の責任者を任されている、『沙良想衆のアンドロメダ』が、厳かに、
「――主の尊き威光は、我々だけが独占して良いものではない。栄えあるゼノリカの天下百済頭目ウルトラバイオレット001……そして、栄えあるゼノリカの天下楽連の武士督脈の15番アモン。両名とも、宣教師として選ばれた栄誉を胸に抱き、己が勤めを、厳密に果たして参れ。リラ・リラ・ゼノリカ……」
「「……リラ・リラ・ゼノリカ……」」
ながったらしい式典・儀式を経て、
ようやく、UV1とアモンの二人は、
第十アルファへと旅立つことができた。
二人とも、『主の美しさを世界に広めるためならばなんでもする』という、決意と気合に満ち満ちている。
全員狂人。
それが、現状における、ゼノリカの天上の実態。
★
――旅立った二人を、遠くから覗き見している変態デバガメが一人。
「くっくっく、俺に嫌がらせをかまそうとしても、そうはいかんぞ、虫ケラどもめ。約束通り、地獄以上の恐怖を魅せつけながら、じわじわとなぶり殺しにしてくれる」
狂気的な笑顔でそう言っているパラノイア。
彼こそが、ゼノリカの総支配人。
全ての命を支える慈悲深き王。
神の中の神。
病的な高潔。
舞い散る閃光センエース。
「舞い散る閃光は、ただの無能な変態。崇拝などしてはいけない。崇拝するとしたらゼノリカという組織である、という絶対的な現実・史実・事実・実態・真相を、必ず、第十アルファの面々に叩き込む! なぁに、容易い任務さ。なんせ、第十アルファの天帝は、『俺の失態を見すぎて、最終的には、俺のことがハナクソにしか思えなくなったポガッサ』だ。くっくっく。UV1、アモン。二人とも、絶望を数える時間だぜ」
そこで、センは、
歯を剥き出しにして、
右手の拳を強く握りしめ、
「……第十アルファ人は無神論種族だ! なめるなよぉ!」
そう叫びながら、
自分が開いた第十アルファへのゲートへ飛び込んだ。
★
第十アルファの深い森に降り立ったUV1とアモン。
二人は、さっそく、その森の内情を調査していく。
モンスターの生態系、
森内における知的生命体の社会生活の有無、
この森が、拠点にできそうか否か、
閃化は禁じられており、かつ、『存在値300以上の出力を出すことが許されていない』ため、少々時間がかかったが、根本的なスペックが高いので、結局のところ、すぐに大体の情報は出揃った。
二手に分かれて森を探索した二人は、2時間が経過したところで、最初に降り立った地点で落ち合い、顔を見合わせると同時、情報の共有化を進めていく。
最初にUV1が、つらつらと、
「森の近くでは、いくつか、人口『数百〜数千』の村があるが、森内部では、知的生命体が社会生活を多なっている様子はない。開拓されている様子もなし」
続けて、アモンがよどみなく、
「原因は、この森のヌシでしょうね。レインボー・ネオドラグーンが一体、森の奥深くで巣を形成しております。存在値は、およそ、350」
「こんな中規模程度のショボそうな森を、超王級の龍種が支配しているというのか? 前代未聞だな」




