67話 全世界の全人類に、ゼノリカという『奇跡の組織』を信仰させる。ミッション了解。
今日は帰るのが少し遅くなるので、
朝に2話投稿します。
本日の1話目です。
67話 全世界の全人類に、ゼノリカという『奇跡の組織』を信仰させる。ミッション了解。
「やっぱ、やだなぁ……第二~第九アルファの連中に持ち上げられているだけでもしんどいのに……『星桜の助け』が確約されているから、『いずれ、記憶は消せる』とはいえ……やっぱ、やだなぁ……」
大学生にとっての就職活動ぐらい嫌なもの……
それが、センにとって、全人類に崇拝されるという厄介事。
どうせ、記憶はリセットされる。
星桜が必ずやってくれる。
そう信じているセンさんだが、
しかし、将来の話ではなく、今、目の前の面倒事が、単純にイヤという感情論。
やまない雨はないとかではなく、今ふっているこの雨に耐えられない。
「……別に、俺自身を信仰させなくても、いけると思うんだよなぁ……」
センさんは、どうにかして、
自分のしんどさを軽くする方法を考える。
「例えば、ちょっと前までの第二~第九アルファでは、センエースという神は、『ゼノリカの理念の象徴』みたいに思われていたわけで……それ以外でも、『三至を合わせた名前』みたいな風にも捉えられていたわけで……それでもうまくまわっていた。だから……『そういう形』で、センエースを信仰させる……でもいいと思うんだよねぇ……そう。ようするには、ゼノリカという箱を信仰させればいいんだよ。で、実質的な象徴としては三至を愛するように仕向ければ……実際のところ、ゼノリカの支配者は俺なんだから、『ゼノリカが享受できる恩恵(原初の世界にいくためのパワー)』は、俺も普通にあずかれるはず……うん、そうだな……そうしよう……」
全世界の全人類の愛を、
自分ではなく『ゼノリカ』に集中させることで、
間接的に、自身の強化を図ろうとするセン。
「見極めを誤るな。俺の強化は最優先、だが俺そのものを信仰させる必要はない。俺もゼノリカの一部。生かすべきは俺ではなくゼノリカ」
逃げの思想を中心に、方針を固めるセンエース。
「……全世界の全人類に、ゼノリカという『奇跡の組織』を信仰させる。ミッション了解。センエース、目標を駆逐する。ゼノリカがガ〇ダムだ!」
ちょっと何言っているか分からないことを叫んでから、
センは闇の中へと溶けていった。
センエースの比類なき暗躍が、今、始まろうとしていた。
★
その日、裏ダンジョンゼノリカの塔最下層で、20名に及ぶ、百済の面々が、『閃化』+『自身に可能なMAX変身』を成した状態で、等間隔に並んでいた。
皆、険しい顔つきで、
オーラを練り上げ、
全員で、声と心を揃えて、
「「「「「「アウターゲート」」」」」」
異世界へ続く扉を開く神の魔法を使う。
強大な力によってこじ開けられたゲートは、バチバチと強い電流を帯びていた。
時空が歪んでしまいそうな、強い圧力の中、20人の百済は、ゲートを安定させるための無数の魔法やスキルを駆使していく。
あらゆる力を駆使し、なんとか『数分間は安定してゲートを維持できるようになったところ』で、『最後の儀式』が行われる。
……ちなみに、こうして『実際にゲートを開くまでの間』にも、山ほど式典が行われている。
ゼノリカでは『厳かさ』を、ことさら大事にする風潮がある。
センエースは、『卒業式すら出たくない』という式典系面倒派の堕落神なのだが、『配下がやりたい』というのであれば、『鬱陶しいからやめろ』とは言えない。
『自身が崇められること』を『咎めること』には積極的だが、そうではない部分では、あまり強く言えない、配下に甘い閃光。




