66話 大学生にとっての就職活動ぐらい嫌なもの。
66話 大学生にとっての就職活動ぐらい嫌なもの。
「別にナメてないっすよ。……ちなみに、トゥルーに届いた時、ボクに何を要求するつもりなのか、先に教えてもらってもいいっすか? 色々、準備しておきたいんで」
柄にもなく、ドキドキしながら、その質問を投げかける星桜。
もちろん、センが自分に何を要求するかは完璧に予想できている。
……星桜は自分の運命と向き合う。
これまでずっと頑張ってきたのは、今日という日のためだったのだと強く思う。
……そんな、ロマンチック乙女ゲージがマックスになっている彼女に、
アンポンタン世界選手権連覇で殿堂入りの男、
我らが英雄センエースさんは、
もちろん……
「全員の頭から、俺に関する記憶を消す手助けを、ぜひ、お願いしやす、万能天才姉さん! しゃしゃーす!」
「……ブチ殺すぞ、クソカスが」
状況を何も理解できていないバカな閃光と、
乙女心を踏みにじられて怒り心頭の星桜。
星桜の怒りは留まるところをしらず、
最終的には、普通に手が出てしまいましたとさ。
――めでたし、めでたし。
★
星桜がなぜ、あそこまで切れたのか、
その理由が、皆目見当つかない愚かなセンさん。
わび料として、『いつでも通信ができる指輪』をカツアゲされたのだが、正直、センは、まったく納得していない。
『なぜ、そんなに怒るのか』と、そんな風に疑問を抱くことしか出来ない、人間失格。
人間失格というか、男失格。
残念無双センさんのお先は、いつだって真っ暗。
おそらく、センさんは、この先も、ずっと童貞だろう。
それも、しゃーない。
だって、こんなにもおバカさんなんだもの。
「なんだかんだ、星桜は、俺の願いを受け入れてくれた。あいつは、総合力ではトウシを超えている逸材。あいつがその気になれば、全員の頭から俺に関する記憶を消すことも容易いはず。……となれば、もはや、遠慮はいらん。この先、誰がどんな誤解をしようと関係ない。天才の星桜さんが、根こそぎ、ぶっ潰してくれる(予定)からなぁ……くく……」
前提で『優秀な保険』を得たと誤解しているセンさん。
星桜は、最後に、センのお願いを『しぶしぶ了承』したが、
その真意には、まったく気づいていない。
星桜は、センの願いを叶える気など毛頭ない。
マジでムカついたので、いやがらせで、了承するフリをしただけ。
なんだったら、トウシがアカシックレコードにかました『センエースに関する記憶の保護』をより強化してやろうと思っている始末。
この件に関して、センさんに味方はいない。
四方八方、周囲全てが敵の山。
センさんの手が、理想の未来に届くことはありえない。
「さて……それじゃあ、さっそく、ミッション開始といこうか……すべての世界を支配するという『超絶エグい大仕事』……全人類に俺を信仰させ、俺の力を大幅に……んー……」
そこで、センは、渋い顔をして、
「やっぱ、やだなぁ……第二~第九アルファの連中に持ち上げられているだけでもしんどいのに……」
改めて、そのしんどさと向き合いブルーになる。
「……『星桜の助け』が確約されているから、『いずれ、記憶は消せる』とはいえ……やっぱ、やだなぁ……」
大学生にとっての就職活動ぐらい嫌なもの……
それが、センにとって、全人類に崇拝されるという厄介事。
来年1月から販売される自作コミカライズ版のボリュームですが、
当初は「毎月30ページ」でお届けする予定でした。
今年1月に投稿した漫画版が、60ページ規模で準備含め2か月半ほどかかったので、それをベースに考えておりました……が、お金を頂く以上、それでは覚悟が足りないと思い直し、「毎月50~60ページ」のボリュームでお届けすることにしました。
普通に当初の倍の時間がかかりますが、
お金を頂くというのは、そういうことだと思い直し、覚悟と性根を入れ替えて、邁進しております。
(時間たりねぇだろ、と思われた読者様へ。ええ、足りません。だから、休みを秒単位で全部潰して、仕事の合間をこれでもかと縫って、睡眠時間も限界以上に削っております。身を削る、命をすり減らす……それに該当する行為を全て行って時間を捻出しております)
「漫画50~60ページ + 小説3万字前後」
過労死するには十分な努力。
その対価として、500円を頂戴したいと考えております。
どうか、よろしくお願いいたします<m(__)m>




