61話 歪んだ孤高。
61話 歪んだ孤高。
「……そのことも、トウシから聞いている。その助け、直接お願いしたわけじゃなく、めちゃくちゃ難しい暗号で求めたんだろ。見せてもらったが、あんなもん、武力系の田中に解けるわけないと思うが」
「その気になれば解けたはずっすよ。あのジジイ、頭も、それなりにいいから」
当時、『星桜が処理しようとしていた厄介事』は、『物理担当の達人』が一人いるだけで、難易度が大幅に低下した。
その当時から『双子の妹であるサクラ(物理担当)』が使えれば、それで問題なかったのだが、『その時点では5歳の幼女だったサクラ』では流石に厳しかった。
すでに、複数の案件を抱えて大変だった星桜は、できれば、ゴンズに助けてもらいたかったが、しかし……
「本気で挑んではくれなかった。それだけでも、殺意を抱くには十分だとおもんすけど」
「……その思考は、俺からすれば、ちょいと無茶が過ぎる期待だと思うが」
「そう。この世界に期待してはいけないんすよ。やるなら、自分で全部やらないといけない。ガキのころ、それを痛感した。だからずっと一人でやってきたんす」
妹のサクラに、色々とやらせていたが、
しかし、セラの中では『一人でやっている』という認識だった。
決して『助けあっている』という認識ではなく、あくまでも『利用してきた』というだけ。
セラにとって、サクラは道具の一つに過ぎない。
……『会社で一人残業している男』が『パソコンも一緒に働いてくれているから、俺は一人じゃない』とか言い出したら、心の病気を疑うだろう?
セラにとってサクラは道具であり、それ以上でもそれ以下でもない。
彼女のその異常思想は、『セラが生まれつき最低だから』というのも理由の一つなのだが、しかし、決して、先天的な理由だけがすべてではない。
彼女を、それだけ腐らせた世界も悪い。
……そんなセラに、センは、
「もう、一人で挑む必要はない。今後は、俺に力を貸してくれるだけでいい。面倒ごとの責任は、全部、俺がとる」
その言葉を受けて、
星桜は、つい、ほころびそうになった顔を抑え込んで、
「……そこまで熱心にくどかれると、さすがに、無視するわけにはいかないっすね。ただ、やっぱり、最初はセフレからスタートっすかねぇ」
「歪んだ孤高。フランクに見えて強固なATフィールド。頑固で、ひねくれ者で、嘘つき。素の自分を出すことを忌避する臆病者。幸福にはなれない性格だ。ヘドが出る」
「それは、100%、こちら側のセリフっすねぇ」
「俺は素直にワガママに生きている勇敢な男だ。お前とは真逆だよ」
「じゃあ、もう一回聞くっすけど、ボクの額に撃ち込んだアレ、なんだったんすか?」
「何度も言わすな。ただのエネルギーの塊だ。ムカついたから頭をカチ割ってやった。それ以上でも、それ以下でもない」
「推測するに、『ボクの呪いを吸収する』みたいな感じゃないっすか? ボクの呪いは回復魔法でどうにかなるようなものやない。けど、何でもできる最果ての神様なら、『ボクの呪いを奪い取る弾丸』という無茶ぐらいは、どうにか出来そうっすよね」
自作コミカライズに挑戦してみて、
・今の自分に出来る事と、
・今の自分には出来ない事、
という二つが明確になりました。
そして、本気で「漫画という形式」に挑戦したことで、
明かに成長しております。
今の自分には出来ないことに挑戦し続けた結果、
今の自分に出来る事の量が増えてきました。
私には才能がありませんが、
しかし、だからこそ、
「才能がない人間が努力だけでどこまでいけるか」
という特殊チャレンジを、お見せできるような気がします。
才能というブーストに頼れない無能が、
狂気だけでどこまで行けるのか、
ぜひ、確かめていただきたい。




