45話 見た目を17にしているだけで、中身は200兆歳超えのクソジジイ。
45話 見た目を17にしているだけで、中身は200兆歳超えのクソジジイ。
「なんでもいえ。俺に出来ることで、他人に迷惑がかかるような類のものでないなら、たいがいのことは叶えてやる。『不老不死』でも、『死者蘇生』でも、『これからやってくるサ〇ヤ人を倒してほしい』でも、なんでも――」
「では……私を娶っていただきたい」
……スイセイも、センエースの衝動をその身に浴びた時、
『出会えた』と思ったのだった。
しかし、レイナのように、若さ任せの猪突猛進は、
状況的にも、なかなかできなかった。
とはいえ、黙って下がる気は一切なく、正しい機を待った。
それこそが今。
彼女の目は、今、捕食者の光に包まれている。
その瞳の圧力を、センは、いつも通り、正式に誤解する。
「おっと、なるほど……そうきたか……随分と強欲じゃねぇか。俺の財産の『ほとんど』を奪い取ろうとは……」
結婚は、『稼ぎの多い方』が『不利』になるようにできている不平等なシステム。
センも、ずいぶんと長いこと生きてきたので、『正式』に結婚した経験こそないが、しかし、結婚のデメリットの大きさは、十分に理解できている。
女が最初からその気で丁寧に計画を立てれば、男から全てを奪い取ることも出来るのが結婚というシステムのワナ。
そして、センは、自分が、スイセイに愛されているとは毛ほども思っていない。
その結果、センの中で、『スイセイの思惑』に対し、どういう推論を出すかと言えば、
もはやいうまでもなく、とても悲惨なものになる。
「残念だが、さすがに、それはダメだな」
「主はおっしゃいました。主に可能なことで、他者に迷惑がかからないことであれば叶える、と。……条件には合致しております。もし、財産目当てだとお疑いになられるのであれば、最初から全ての権利を放棄いたしましょう。私は、ただ、あなた様の隣に立ち、あなた様の支えになりたい。それだけでございます」
「……」
「それとも、40を超えた老婆など、相手に出来ない、と、そういう訳でしょうか?」
「いや、40前後を老婆とは流石に言わんよなぁ。昨今、60でも言わんだろ。70でも踏ん張っているやつはいるし……まあ、80を超えてくると、流石に覚悟を決めてもらう必要性も出てくるだろうが……てか、年齢を言い出したら、俺とか、見た目を17にしているだけで、中身は200兆歳超えのクソジジイだし」
「では、なぜ、私を娶っていただけないのでしょうか? 私を迎えることを嫌がる理由をぜひ聞かせていただきたい。改善できる要素であれば、全力で――」
「違う、違う。嫌がっているとか、あんたの出来が悪いとか、そういうことじゃない。純粋に、結婚となると話は別ってだけの話だ。というわけで、他の願いを言え。けっこうなことを叶えてやるから」
「あなた様の隣に立ちたい。それだけが私の願いです」
「……えーと……あ、じゃあ、こうしよう。俺の横に立つには、条件が足りない。もし、お前が、オメガ無矛盾アートが有する不可謬性の完全証明に成功したあかつきには、お前とのあれこれも考えてやろう。どうだ?」
これなら、『そんな無理をいうやつはゲロキモすぎて無理』と嫌われるだろう、
と、浅すぎることを考えているセンさん。
今日の午後か、明日の朝、
デモ版として、
来年1月から発売予定の、
自作コミカライズ版の一部を、
公開する予定です。




