41話 異常頭脳乱舞。
41話 異常頭脳乱舞。
(神種が芽吹いて、プラチナが目覚めて、その上で、超神化した? この数秒の中で? なんだ、こいつ……マジか……超神になるのに、俺がどれだけ苦労したと思ってんだ……俺だけじゃねぇ……バーチャとか、ゼノリカの面々とか……みんな、どれだけ……)
彼女の現状を、あえて、例えるなら、『デビューした5分後に、ゴールデンタイムで帯の冠番組が決まった新人タレント』みたいなもの。
死ぬほど下積みを踏んで、苦労してポジションを獲得してきた者の視点では、
『どういうこと?!』と強めの疑問符を抱かずにはいられない。
もう、こうなってくると、妬ましいとか、羨ましいとかどうこうではなく、
ただの『難しすぎるミステリー』であり、全力で引いてしまう。
「あ、ええの見つけえた。これやったら、どうにかなるかも。『天照坐皇大御鏡』をインストール、と」
彼女の異常性は止まらない。
『最短最速の最適解』だけを、強引に鷲掴みしていくストロングスタイル。
「めっちゃ抵抗されるんやけど、ウケる」
世界の抵抗を、鼻で笑っていく。
『フラグを無視するための手段』を模索する叡智の怪物。
「鬱陶しいなぁ。黙って、あたしの命令を聞け。あたしを誰やと思とんねん」
力強く、豪快に、ワガママに、
レイナは、自分の中へ、
プラス・プライマル・プラチナスペシャルを押し込んでいく。
かなりてこずったものの、
しかし、最終的には、
「完全な状態は流石に無理か……でも、まあ、いずれ、完璧に掌握してみせるけど」
そう言いながら、
レイナは、センに、
「旦那様、ちょっと力を借りるで」
そう宣言すると、
「……永久閃光神化……」
当たり前のように、
センエースの最終固有神化をパクっていく。
さすがに、パーフェクトコールで力を顕現させることは不可能。
それが出来るだけの努力が足りていない。
彼女は、まだ、下地が足りない。
……とはいえ、タナカ・イス・レイナが狂っていることに変わりはない。
その、異常過ぎる様を見せつけられて、
さすがに、センさんは、
「ぇえ……」
と、ドン引きの向こう側で、渋い顔をする。
深い輝きの中で、
レイナは、黙々と作業をしていく。
そんな時間が数分経過したところで、
「……ふぅ……」
レイナは、永久閃光神化を解除し、
同時に、神気を纏うのもやめた。
ただの小学六年生女児に戻ると、
その場で、ばたりと、仰向けに、大の字で倒れこんで、
「原初の世界にいくための条件……いくつか見つけたけど、ムズすぎる条件ばっかりやなぁ……『運命に導かれる』という一番簡単な条件以外は、どれも、えぐすぎる……最初から詰んどる条件ばっかり……」
脳を酷使しすぎて疲れているのか、
焦燥しきった顔で、
しかし、レイナは、それでも、
センの腕の中に、
「これ……一応、条件をまとめた書類……あんま役に立てんで……ごめんな……旦那様……」
書類の束を、顕現させると、
そのまま、泥のような深い眠りについた。
「……」
彼女のやつれた顔を見たセンは、
「神の慈悲」
全力の回復魔法で、彼女の全てを癒してから、
彼女の頭に触れて、
「……凄まじいプライドの高さだ。俺のパワハラに対し『カウンターをいれるためだけ』に、ここまでするとは……腹のたつメスガキだが……その気高さだけは認めてやる。お前のヤバさは、シューリに匹敵する」




