37話 旦那様、お手数煩わして申し訳ないけど、ちょっと、原初の世界の深層に行ってきてくれへん?
37話 旦那様、お手数煩わして申し訳ないけど、ちょっと、原初の世界の深層に行ってきてくれへん?
(あたし固有の呪いは、普通にあたしを縛り付けとる。……あたしを縛る呪いは……えっと……ああ、シグレほどではないけど、『知性レベルに制限』が入っとるんか……本来の、あたしの知性レベルは……今の倍……呪いを解くことが出来たら、それだけで、トウシに匹敵できる……あとは、努力に努力を重ねることで、トウシ以上になれるか……うん。まあ、そのぐらいやないと、神王の妻なんて名乗れんしな)
自分自身に関する詳細を確認していくレイナ。
その流れの中で、
(ん……もしかして、あたし、シグレのバックアップか? バックアップというか、強化パーツ? トウシにとってのウラスケのポジション。……あたしとシグレが合体することが、呪いを解くきっかけの一つ……いや、合体するだけではアカン。さすがに、それだけは話にならん。完全に呪いを解く前に合体しても、シグレの無能さが、あたしの邪魔をするだけ……)
無数の情報を取り込んで、処理して、適切にさばいていく。
自分たちにかけられている『呪い』に関して、調べれば調べるほど、
(……なるほど、強固やな。トウシがてこずるとか、どんなパズルやねん、と思っとったけど……うん、これは、確かに、トウシでも無理か……)
例えるなら、『全銀河中に広がっている星』の一つ一つが『ピース』になっている『真っ白なジグソーパズル』みたいなもの。
その気になれば、最終的に解けるだろうけれど、あまりにも時間がかかりすぎる地獄。
(このパズルを解こうと思ったら、たぶん、那由他とか不可思議とか、そのレベルの時間を必要とする……流石に、それはやってられん)
一つ、一つ、前提を飲み込み、精査していく。
どうすれば旦那様の役に立てるか、とまっすぐに、真摯に、没頭する。
その結果、
(原初の世界……その深層になら、このパズルを解き明かす復号用のカギがあるやも……)
コスモゾーンの情報の海に、深く潜った結果、
レイナは、『原初の世界』という深淵に辿り着く。
(今のままでは、『ほぼ無限の時間』を必要とする『時間泥棒パズル』と向き合う必要があるけど……秘密鍵さえあれば、どうにか出来る……)
そこまでの答えに辿り着いたところで、
レイナは、思考ダイブから帰ってきて、
センに視線を送り、
「旦那様、お手数煩わして申し訳ないけど、ちょっと、原初の世界の深層に行ってきてくれへん?」
「レイナさんよぉ。俺は、その原初の世界にいく方法を探してほしいと、お願いしているんだが? 話、聞いてた?」
「あ、そうやったっけ」
と、ナメたことを口にしてから、
レイナは、また、作業に没頭する。
彼女なりの事情を理解していないセンは、
彼女の言動全部が、『高度な煽り』に見えて仕方がない。
(このメスガキ……とことんナメくさりやがって……)
と、センがピクピクとイラついている向こうで、
レイナは、
(えっと、原初の世界にいく方法、原初の世界にいく方法……あ、そっちも、なんか、カギかかっとるな……うわ、鬱陶しい……鍵を開けるためには、原初の世界の深層にいかないかんけど、原初の世界にいくためには鍵を開ける必要がある……あ、詰んでるやん……うざぁ)




