33話 核爆弾のスイッチでお手玉する美少女。
33話 核爆弾のスイッチでお手玉する美少女。
司会進行役のトウシが、
「さっきと同じく、挙手制でいこう。誰か、意見のある者は手をあげてくれ。わかっとると思うけど、二度と、王を不快にさせんな。次、センを不快にさせたアホウは、ワシが殺すから、そのつもりで」
そう言った直後のこと、
ほかの田中が尻込みしている中、
レイナだけが、ピンと、手を伸ばす。
ほかの田中がブルブルと震えている中、
彼女だけは、まるで、早朝の水面のような穏やかさで、
もはや、神々しさすら感じるほどの静寂を纏い、
しなやかに、美しく、右手をまっすぐ天に挙げている。
その様を見た神王センエースは、不敵な笑みを浮かべ、
「ほう。いい度胸だ。くるしゅうない。ちこうよれ」
さっき、あれだけ脅しつけられていながら、しかし、今、まったくビビった様子もなく、まっすぐな目で手を上げている彼女のクソ度胸に本気で感心したセン。
ゆえに、その精神性を、普通に褒めた。
それだけ。
『くるしゅうない、ちこうよれ』は、ただの、いつものギャグ。
なんとなく、言葉の流れと語感が合ったから、つい言ってしまった、というだけの、いわゆる、いつもの病気。
『誰だ、お前は』と聞かれたら『探偵さ』と言わずにはいられないのと一緒の発作。
だから、『ちかよってほしい』とは一ミリも思っていなかったのだが、
しかし、レイナは、
センエースの言葉を、『正式な許可』だと認識・断定し、
「はい!」
と、天真爛漫な笑顔で大きな返事をすると、
イスをもって、たったったと、駆け足で、
センの隣までたどり着くと、
ギュっと、センの腕に抱き着いた。
――『彼女の中』では、『自分はセンエースの妻』なので、当然の行動である。
しかし、それ以外の全員にとって、その行動は、あまりに奇怪。
彼女の謎すぎる行動に、ただただ困惑するセンエース。
彼女の狂気に瞠目する田中家。
『センの困惑』が『正常運転しているわずかな時間』の中で、
田中家の面々は、彼女の行動の意味を理解するに至る。
『うそやろ。あのバカガキ、神の王を、パートナー認定しやがった』
同じ穴のムジナだから分かる。
同じ経験をしてきた者が大半だから分かる。
『出会えた』と思ったら、自分達は止まらない。
止められない。
気持ちは分かる。
その感情に逆らえないのは、よくわかる。
……けど、流石に、今回ばかりは、相手が悪すぎる。
田中家の面々の視点だと、
現在のレイナの行動は、
核爆弾のスイッチでお手玉をしているようなもの。
あまりに危なすぎて、見ているだけで失神しそう。
「旦那様、あたしに携帯ドラゴンをちょうだい」
ニコニコ笑顔で、『さっきキレられたばかりの要求』をかましていくレイナ。
センの視点では、
(え、やば……なに、こいつ……さっき、それを言って怒られたばっかりなのに、なんで直後に、また同じことを……え、どういうこと……どういうキチ○イ? おまけに、旦那様とかいう、ナメた呼び方で、一発カマしてきやがっているし……え、ほんと、なに、こいつ……こわっ……シューリなみにヤバくて、引くっ……!)
自作コミカライズ版ですが、
かなりの高品質なものに仕上がっております!
クロッカ編も、本編を食ってしまうんじゃないかというほど、とんでもない出来上がりになっております!
あまりに面白すぎて、発売したら、
「続きが出るまで一か月も待てない」と、
発狂してしまう読者様が続出すること間違いなし!!
舞い散る閃光「……また、ずいぶんと思い切ったな……」
決めたんだ。ハードルは上げるだけ、上げてやるって。
……その方が、くぐりやすいからな!
舞い散る閃光「……お、おう」




