31話 出会えた。
今日は遅くなるので。朝に2話投稿します。
本日の1話目です。
31話 出会えた。
「さて、それじゃあ、最初からやり直そうか。パワハラをかましてしまって悪かったな。俺は、感情のコントロールがへたくそなんだ。それを踏まえた上で、発言してくれると嬉しいな。さあ、世界最高の天才集団たちよ。オラに元気(知恵)を分けてくれ」
と、笑顔でそういうセンに、
田中家の面々は、みんな、表情を引きつらせるしかない。
その状況で、トウシが、
「では、司会進行をワシの方で進めさせてもらおうか。この上なく尊い神の王に、そういう雑事を任せるのもアレやし」
「……二度と、『この上なく尊い』って言葉を使うな、クソ野郎。それ言われるの、童貞をイジられるのとイーブンぐらいイラつくんだよ」
「はいはい」
と、雑な態度をするトウシに、
ほかの田中は、キレた視線で、
『逆撫でするような態度をとるな』
と、文句の眼光を浴びせていく。
大半の田中が、センにビビリ散らしている中、
田中・イス・玲南だけは、
キラキラした目で、センを見つめていた。
……天才すぎて、これまで、『大人に怒られる』ということが、極端に少なかった美少女。
美貌と知性が領域外にあるせいで、もはや、周りから、嫉妬されることすらなく、『レイナは宇宙人だから』と、人外扱いされ、スターでもアイドルでもなく、それ以上の『別枠の何か』として扱われてきたカリスマコズミック美少女。
ちやほやされるとかいうレベルではなく、国宝として扱われる日々。
どんなワガママも許され、国家レベルどころか世界レベルで大事にされている、完全無欠で天衣無縫のお姫様。
存在価値という点だけで言えば、歴史中のどんなお姫様が束になってかかってきても相手にならないハイエンドプリンセス。
彼女にとって他人は虫けら。
天才しかいない親戚連中ですら、基本的には相手にならないゴミばかり。
トウシ、ザンク、ウラスケあたりは、まだ人間として扱ってもいいと思っているけど、親戚だし、三人とも、性格が悪くて、生理的に無理、普通にキモい。
他は全員、脳の使い方を知らない猿ばっかりで、どいつもこいつも話にならない。
生理的に無理な男か、格的に無理なカスしかいない世界。
ほかの田中は、よく、こんなカスみたいな世界でパートナーを見つけられるものだと、呆れてしまうレベル。
『絶対的に自由な立場』という、『決定的な不自由さ』の中で、圧倒的な退屈と、精神的な飢餓に苛まれていた。
……そんな中、レイナは、
(……出会えた)
カリスマコズミックスーパー天才美少女の自分すら虫ケラ扱いできる、別格の男。
レイナは心の中で確信し、そして、勝手に決定する。
(あたしは、神の王と結婚する。それが、あたしの運命やったんや)
夢を見ているのではない。
少女漫画を読んで王子様を夢想するのとはわけが違う。
レイナは『それが自分の運命だったのだ』と、魂魄レベルで確信する。
思い込みではなく、魂の確信。
ゆえに、レイナは、
(神の王にふさわしい妻は、さすがに、女神やないとあかん……ただの一般人では話にならん……早急に女神にならんと……それも、最上位の女神……トウシが神になっとるから、あたしでも絶対になれる。問題は方法だけ。どうやったらなれる? 細かい方法をトウシに聞く? いや、それはウザい。アレに頼るんはプライドが許さん。……自分で、コスモゾーンとかいう量子コンピュータにハックを決めればええ。その辺の手段は、携帯ドラゴンが一匹おればどうとでもなる)




