30話 果て無く尊き神の王を不快にさせた罰として、ここにいる田中全員、10億回ほど死んでもらう。
30話 果て無く尊き神の王を不快にさせた罰として、ここにいる田中全員、10億回ほど死んでもらう。
「田中・イス・玲南」
「……は、はいっ」
「てめぇも、まだガキだから許されると思ったなら、認識を改めろ。200兆年以上生きている俺の視点では、百年前後で死ぬ第一アルファ人は、もれなく、生まれたばかりのクソガキだ。さすがに、よちよち歩き以下の幼児は話が一個別だが、十歳以上は全員同じ」
「……」
「あと、もう一つだけ『前提』をつけくわえよう。俺は、この、第一アルファが大嫌いだ。出来が悪すぎて、キモすぎて、ウザすぎて、虫唾が走る。この『終わっているクソ世界』で呼吸しているってだけで、イライラしている。この世界にいるだけで気分悪くて吐きそうなのに、目の前には、ズラっと、大嫌いな田中が勢ぞろい。初手から、苛立ちは有頂天に達していた。てめぇらの知性が高いのは事実だから、ちょっとはその知恵を借りられないかと、我慢していれば、いい気になりやがって……」
ガタっと、そこで、イスから立ち上がるセン。
この場にいる全員が、ビクっと体を震わせて、センから距離を取ろうとする。
「もういい。全員、死ね……」
センは、右手を、田中家に向ける。
そして、『怒りで膨れ上がったオーラ』をギュンギュンに加速させていく。
……そこで、トウシが立ち上がり、
「親族の無礼を、心から謝罪します。果て無く尊き命の王よ、どうか、ワシの謝罪を受け入れていただけませんでしょうか」
と、深々、頭を下げた。
その頭頂部に、センは、
「てめぇは敬語使うんじゃねぇ。殺すぞ」
「………………難しい男やな、お前。昔からずっと」
そこで、トウシは頭を上げて、
「闇色領域ランク8000」
拷問用の魔法を展開し、
「煉獄不滅彗星ランク――」
と、この場に、極悪なメテオを落とそうとしたので、
センは、
「呪縛ランク15000」
トウシの動き全てを魔法で止めてから、
「……トウシ……なにやってんだ、てめぇ」
と、質問を投げかけてから、
喋れるように、呪縛を調整すると、
トウシは、
「ここにおる田中全員、10億回ほど死んでもらう。この上なく尊き神の王を不快にさせた罪を償わせる。それが、このバカどもの親族であるワシの贖罪や」
「……」
センは、トウシとしばらくにらみ合ってから、
「……とことん、俺を不愉快にさせる男だ……」
と、つぶやいてから、
「……座れ。全員」
命じつつ、
センは、イスに腰を下ろす。
全員、センとトウシの迫力を前にして、ビビリすぎているため、ピクリともうごけない。
「神の慈悲」
センの魔法で、精神を回復してもらい、
その上で、
「座れ、これは命令だ」
命令を頂いたことで、
ようやく動き出せるようになる田中家一同。
おずおずと、センの様子をうかがいつつ、イスに腰をかけていく。
最初のダラけた態度とは打って変わって、
全員、背筋をピンと伸ばして、顔には『強めの緊張感』が走っている。
「さて、それじゃあ、最初からやり直そうか。パワハラをかましてしまって悪かったな。俺は、感情のコントロールがへたくそなんだ。それを踏まえた上で、発言してくれると嬉しいな。さあ、世界最高の天才集団たちよ。オラに元気(知恵)を分けてくれ」




