28話 大魔王からは逃げられない。
28話 大魔王からは逃げられない。
……イス田中は、プライドが高い。
『みっともない姿をさらすぐらいなら死んだ方がマシ』と思っている者も、この中には結構いる(※全員ではない)。
しかし、そんな連中も、『ガチオーラを発揮している神の王』を前にすれば、ただの矮小な虫ケラになるしかない。
神がちょっと体を動かせば、それだけでプチっとつぶれてしまう虫。
それが自分たちである……と、神がキレたことで、ようやく気付く、平和ボケっぷり。
「トウシだけかと思ったら……まさか、一族郎党丸ごと、人をイライラさせるのがうまいやつらだったとは……まったく……思ってもいませんでしたよ。ほっほっほ」
セリフだけは、宇宙の帝王テンプレましましで、チョケているようだが、
バチバチのオーラと眼光がエグすぎて、田中たちは、みな、センから視線を逸らすことが出来ない。
目線を少しでも離せば殺されるんじゃないかと思ってしまった。
……いや、それどころか、呼吸をするだけでも、八つ裂きにされるんじゃないかと、息を止めている者もいる。
「もしかして、いざとなれば、トウシが間に入って、俺を止めてくれる、とでも思っていたのかな? だとしたら、見当違いも甚だしい。将来のあいつならともかく、今のあいつじゃ、俺の足元にも及ばない。そうだよね、トウシきゅん」
そう言って声をかけると、トウシは、
「ああ。今のワシでは、お前の足元にも及ばん」
「というわけだ、諸君。矮小で脆弱で下等な、現世のカスごときに、『天上一の神気』を放ってしまって大人げないとは思っているが……君たちは、トウシの親戚。この俺を、とことん追い詰め、本気で怒らせたクソ野郎の親族。つまり、君たちは、最初から、ある程度、俺のヘイトを買っているのだよ。シグレのように、分をわきまえている者なら、別に、『トウシの親戚というだけ』で、殺気を放ったりなどしないが……ここまで、しっかりとナメられるのであれば……もちろん、感情の赴くままに、態度を示させてもらう。俺はねぇ……最悪、トウシさえいれば、それでいいと思っているんだ。トウシの頭は、お前らの中でもぶっちぎり。全員で話し合った方が、多角的な視点で、良質な結論が出せるかなぁ……と思っていたが、それは、あくまでも期待・希望・願望であって、確定でそうなるわけじゃない。トウシ以外は、別に、全員、この場で死んでもらっても、一向にかまわない……それが俺の中の前提だということを踏まえた上で……さあ、もう一度、俺に、要求をしてこい。やるべきことが多くて、忙しくて忙しくてたまらない、この究極超神センエースが、とってもとっても大事な時間を割いて、聞いてやる」
誰も何も言えない。
ピリピリとした空気の中、
ついに、呼吸困難で倒れる者も出てくる。
バタリとイスから倒れた彼に、
センは、
「神の慈悲」
秒で魔法をかけて、すぐに復活させる。
「気絶で逃げられると思うな。舌噛んで死んで逃げられると思うな。世界の真理を教えてやる。大魔王からは逃げられない」




