21話 俺の中での最優先殺戮ターゲットは、あくまでもタナッカマン……貴様だ。
21話 俺の中での最優先殺戮ターゲットは、あくまでもタナッカマン……貴様だ。
『ウルトラバイオレット001(ロビント・ユニ・K・オーン)』
『亜門(ラピッド・ヘルファイア)』
どちらも、優れた資質と野心を持つ『天才超人』であり、
『多く』を経験したことで、精神的にも成長している。
その上で、まだ『天上の面々』のような『完全な魂魄』にはなり切れていない、という『バランスのいい未成熟さ』が『選ばれた理由』の最上位。
『資質』の観点で、この両名は、『いずれ十席に上がること』がほぼ確定している。
今回の『宣教師としてのミッション』を完璧にこなすことで、精神的に、もうワンランク成長してもらい、即戦力として十席に昇格させることが、ゼノリカにとってもっとも有益である、という、多角的な視点での総合判断が下された。
ちなみに、宣教師チームに選ばれなかったことで、楽連のトップ『長強』が、頭を抱えて、のたうちまわりながら、悔しさをあらわにしたのだが、それは、また別の話。
この上なく尊き神を深く知ったことで、長強は、より強く激しく強烈に、『神族になりたい』と願うようになり、だからこそ、今回の選抜チームに選ばれなかったことを、奥歯がへし折れるほど、悔しく思っている。
……長強も、昔は、ただ、『ビッグになりたいだけ』だった。
神族になることで、真の幸福を得られる。
そういった視点で、上を目指していた。
だが、そういった『俗な欲望』は、現状、かなり薄くなっている。
まったくないとは言わない。
彼も人間だから。
しかし、昔と今では、明らかに、『動機の一等賞』に変革が起きている。
『より近い場所で、神に尽くしたい』
それが、長強の願い。
そして、ゼノリカの天下に属する者全員の願い。
今後、天下に属する全員が、天上を目指して、これまで以上の努力を積んでいく。
★
――センは、今、『第一アルファ』にきていた。
懐かしい故郷の風景を見ながら、
「へっ、汚ねぇ世界だ」
と、センは吐き捨てる。
Tシャツ・ハーフパンツという、
とても神の王とは思えないラフな姿で、
超高層タワマンのペントハウスから、
『でけぇ窓』の外に広がる世界を眺めている。
「セン、お前、ほんまに、第一アルファがキラいなんやのう」
と、ソファーに腰かけている天敵に、そう声をかけられたセンは、
「ああ。大嫌いだ。吐き気がする。だが、この世界以上に嫌いな男……それが、貴様だぁ!」
ビシィっと、トウシを指さして宣戦布告をするセン。
「俺の中での最優先殺戮ターゲットは、あくまでもタナッカマン……貴様だ」
「タナッカマン呼び、やめれる? キモいねん、そのあだ名」
と、心底ダルそうにつぶやいてから、
「てか、セン……お前、ほんまに、自由な異世界移動が可能になったんやな」
「くく……俺はまた一つ完璧に近づいてしまった。貴様を超える日も近いだろう」
「とっくに超えとるというか、現状、足元にも及んでへんねんけど、まあええわ。あと、今回の『異世界に行ける行けへん』に件に関しては、『完璧に近づいた』っていうか、『普通になった』ってだけやけどな。上位の神なら、誰でもできる『自由に世界を移動できる許可』が、これまでは、なぜか、おりんかったというだけやから」




