19話 主の威光は、第二〜第九アルファだけが独占して良いものではない。この世に存在する全ての世界の、あまねく命に、主の権勢を広めるべきだ。
19話目ぇええ!!!
19話 主の威光は、第二〜第九アルファだけが独占して良いものではない。この世に存在する全ての世界の、あまねく命に、主の権勢を広めるべきだ。
『まだだ、まだ足りない。主の輝きを、民衆は、まだ爪の垢ほども理解できていない。もっと、もっと、もっと、正しく理解させなければ!』
まだまだ足りない。
もっと、もっと、もっと。
『多くの民衆が、神帝陛下を理解し始めた。このまま、主の尊さを広めていこう』
『幸運にも、主の尊さに直接触れる機会を与えられた現存の民衆の中で、まともな者は、問題なく主を愛するだろうが、そこで終わってはいけない。これから生まれてくる子にも、同じく、主の偉大さを正しく伝えなければいけない』
『当然だ。以前の我々のように、主の存在に対し懐疑的な愚か者に育てるわけにはいかない』
『世界単位で、主を正しく信仰するシステムを確立する必要がある』
『主よ、主よ、主よ! あなた様の尊さは、全世界の全銀河よりもはるかに大きい!』
『あなた様だけが命の全て! あなた様の存在こそが、世界の答え!』
未来永劫、子々孫々、永久に、主の輝きを伝え続けなければいけない。
そのためにできることは何か、と、ゼノリカの上層部が、その優れた頭脳をフル回転させて考える。
さすが、最上位世界の粋を集めた『ウルトラ天才集団』と言ったところで、センエースの信仰力を底上げするためのプランが無数に上がってくる。
その全てを実行に移すという覚悟を示すゼノリカの面々。
さらには、構成員の一人が、
『主の威光は、第二〜第九アルファだけが独占して良いものではない。この世に存在する全ての世界の、あまねく命に、主の権勢を広めるべきだ』
と言い出したものだから、さあ大変。
そりゃそうだ、とアグリーの大合唱。
どうする、どうすると、会議は踊る。
『効率的に異世界へと渡る術を考えなければ』
『今の我々なら、さほど問題はないはず』
『百済の面々の中に、何名か、特異なゲートを開けるものがいる。奴らに、任せればいい』
『今の連中なら、狙った世界へゲートを開くことも可能』
『異世界移動は問題ないな』
『とりあえず、現存するアルファは全て、ゼノリカの支配下に置くべきだろう』
『主の威光を、完璧に広める手段を考えねば』
『アルファだけでも膨大なのに、ベータ以下も含めると、世界は、数えるだけで寿命が尽きるほどたくさん存在する。その全ての世界の全ての生命に、正しく主を理解させるのは、相当に困難』
『困難だからと諦めるのか?』
『そんなことは言っていない。困難だから、質の高いプランが必要になると言いたいのだ』
『時間は無限にあるが、だからと言って無限に浪費して良いものではない』
『できれば、悪神セミハラユーゴや知神タナカトウシがやったように、【主の世界に対する献身の記録】を、直接、脳内に送り込むことが出来れば、はやいのだが……』
『すでに確認しているが、アカシックレコードに記録されているデータの大量転送は、そうそう出来ることではないらしい』
『つまり、われわれは、自力で、かつ、根気強く、布教活動を行うしかないということだな』
センエースを理解させる。
そのためならなんだってする。
そう叫び続けている彼・彼女らの目は、一点の曇りもなく、正式にラリっていた。




