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39話 英雄の師


 39話 英雄の師



「かつてのあたしには何もなかった――けれど、あの子のおかげで、あたしは、『この世で最も美しい英雄の師』になれた」


 なんという栄誉。

 『女神の中の女神』というハイエンドの地位すらゴミに思える、

 ほかの何よりも遥かに尊き最上の地位。






 ――センは、シューリに師事するまで、一度も、誰かの『弟子』になった事はない。


 いや、もちろん、『秘匿されている禁忌魔法の使い方』とか『世界の歴史や地理について』とか、もっといえば、『鎧の着方』とか『肉の切り方』とか、細かい部分を、他者から教わった事はある。

 『体術』や『剣・弓等の使い方』などの『型』を学んだことはもちろんある。


 ※ 定義の幅を広げ、そういう『学問・技芸の教え』を、『少し』でも受ければ、『その相手の弟子となる』と言う判断をするのなら、センにはたくさんの師匠がいる。

 センは常に孤高だったが、一人で生きてきたわけじゃない。



 短期的に・部分的にモノを教わった事ならば、シューリと出会う前にも多々ある。

 だが、長期的に付き従い、『核』だけではなく、『全体的』に『高次の教え』を受け、そのメソッドを、己の基礎そのものにした経験はなかった。


 センは基本的に、独学・自力で己を磨いてきた。

 ほとんどが独自の『閃流』であって、

 シューリの『教え』や『型』を模倣した『裏閃流』以外で、

 『教えそのままに使っている他者のメソッド』はほぼない。



 勘違いしてもらいたくはないのだが、センは、

 決して、シューリ以外からの教えを軽視していた訳じゃない。


 基本的に『自分』と『他者』は違うと理解しているだけ。



 『あんたの流儀は素晴らしい。けど、それは、あんたにとって素晴らしいのであって、俺にとっての最適解ではない。あんたと俺じゃあ、コアオーラの性質や魔力量はもちろん、骨格や筋肉のタイプ(赤筋・白筋の割合等)も違う』



 融合で戦闘力が落ちてしまうというのは、それらの齟齬が招く弊害。

 センが『ゼン』を求めた理由。



 だから、『価値がある』と思ったものは、サクっと『基本』だけ盗んで、

 そのあとは、自分なりの概念に落としこんで組み込んだ。


 『足りない部分』の補い方は知っていた。

 結局、大事な事は『基礎』のはぐくみ方。

 土台があれば、あとは、どうとでもなる。

 どうとでもならなかったその時は、また、誰かに聞けばいい。


 学ぶ大切さは知っている。

 教わる方が早い事も知っている。

 センは愚者じゃない。



 だが、愚者ではないが、賢くもなかった。

 やりたいと思えば『スライムをひたすら2000万匹も倒すというバカもやる』し、

 許せないと思えば『相手が現世でも力が使える神であろうと迷わずぶっとばす』のだ。



 センは誰にも師事しなかった。

 『正式』に言えば『基礎だけを学んだ』になる訳だが、

 『穿ち尖った言い方』だと『基礎以上を学ぶに値する者がいなかった』ともなる。



 そんなセンが、その神生で、唯一、

 『己の師である』と認めているのがシューリ・スピリット・アース。



 全知全能を地でいく、

 『勝利の女神』の頂点にして、『幸運の女神』のナンバーゼロ。

 いと美しき、女神の中の女神。



 この世で唯一、センの正式な道標となった導きの神。






 ――シューリは、



「きっと……あの子は、あたしがいなくとも、いつかは辿り着いていた」




 自惚れていない。

 センを見誤ってもいない。


 シューリが言うとおり、

 仮に、『シューリの導き』がなくとも、

 センならば、いずれ『今のセンエース』に、

 ――『比類なき最強』に辿り着いていただろう。



 もし、シューリが存在しなければ、きっと、ソンキーが神闘の手本となっていた。


 彼女の弟、生粋のキ○ガイジャンキー『ソンキー』は、センに闘いを教えたりしなかっただろうが(というか、間違いなくやらない)、センならば、ソンキーの一手一手から基礎を盗めた。


 シューリなど存在しなくとも、センならば、何かしらの道を探り、

 いつか、必ず『神界の深層を統べる暴君』になっていただろう。



 ――シューリはつぶやく。


「そんな事は知っている」





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