10話 人事、息してる?
10話目ぇえ!!
10話 人事、息してる?
「――『この上なく尊い永久事変』の直後に、『謎の失踪』をしている者が、ちょうど89名存在することがわかりました」
「うん、言いたいことはいくつかあるけど、まず、一番大事なことから行こう。お前ら、あの面倒ごとのこと、そんなキモい言い方してんの? やめて、キショいから。ゲロ吐きそう。あの出来事は、『蝉原厄介編』とかでいい」
というセンの文句を、平は軽くスルーして、
「師よ。こちらが、89名の詳細です」
「200兆ループ編と、蝉原厄介編を経て、お前、ちょっと、俺に対して、図太くなったよね? フランクになるのは全然いいんだけど、俺の命令を聞かないってことだけに特化した図太さは、ちょっと勘弁かなぁ」
と文句を言いつつ、
センは、資料を確認していく。
行方不明者の名前や特徴等を確認したセンは、
「これは……もしかして、全員、バーチャのフラグメントか?」
「その可能性は非常に高いかと。そうでもなければ、尊き師の記憶を削除しようなどと思うはずがありませぬゆえ」
「んー」
「引き続き、調査を続けます。そして、発見次第、始末します」
「やめとけぇ……とも言えなくなってきたな。ガチでバーチャのフラグメントだとすると、放っておくことはできない。バーチャは、マジで、シャレになんないクズだからな。絶好調時のチャ◯ロス聖でも歯が立たんレベルの本物だから。『ム◯カと夜神◯を足して伊◯誠をかけた状態』よりも更にワンランク上にいるという、ド鬼畜スペシャリストだから」
「調査結果によると、この89名全員、犯罪者です。以前のゼノリカでは看破できなかった巧妙な犯罪を繰り返している生粋の悪」
「……みたいだな。全員、表の顔と裏の顔を上手に使い分けて、コソコソ、悪事をしていたっぽい。さすが、バーチャの因子だぜ。面構えが違う」
「正式に討伐を主目的として、この89名を捜索します」
「――『します』って言い切ったな。こう言う場合、『やろうと思ってんすけど、よろしいっすか?』とか、お伺いを立てるもんじゃないの? もし、俺が、本当に、お前の上司だってんならよぉ」
「必要ありません」
「必要あるかないかは、暫定上司である俺が決めるんじゃねぇの? こういう場合。……ここ最近、ずっと思ってんだけど、ゼノリカ内で厳格に定めている『上下関係』、どうなってる? 一番上であるはずの俺の命令を、誰も聞いてくれないんだけど? 大丈夫? 人事、息してる?」
「我々、『尊き師』の『配下』は、『師のために間違いなく命を捧げる』と誓っております。有事の際には、『高潔すぎる師』が『望まぬ献身』に至る場合もございましょう」
「やめてくれない? そういうこと。ほんとイヤなんだけど」
「承知しております」
「承知してんのかぁい。じゃあ、やっぱり、今、俺がくらってんのは、高度な嫌がらせってことかい! なにしてくれてんだ、お前ら。そろいもそろって、王様である俺をイジメてきてよぉ。王様だぞ、俺。わかってんのか。一番偉いんだぞ。シカトばっかりしやがって、このくそったれ共が」




