9話 悪神セミハラユーゴのしぶとさはゴキブリが五度見するレベル。
9話目ぇ!!
9話 悪神セミハラユーゴのしぶとさはゴキブリが五度見するレベル。
「どうやら、『師の記憶を拒んだ89名のテロリスト』の行方が、まったく掴めない模様です。一人残らず、徹底的に処罰してやろうと思っていたのですが――」
「やめとけぇ。絶対にやめとけぇ。てかテロリストてぇ。ただ、俺の記憶を拒んだだけやろがい。むしろ、俺からすれば救世主レベルなんだが」
「その気になれば数百兆級の出力が出せる『今の百済』が全力を出しても発見できないということは なんらかの『上位存在』の干渉を受けていると見て間違いありません。その可能性じたいは、最初から考慮しておりましたが、まさか、ここまで電光石火とは――」
「ん……んー、まあ、そうだな……『尖った妄想』とは言えねぇなぁ。……実際、今の百済が本気を出して、『89人の中の誰も見つからねぇ』ってのはありえねぇ。となると……その89人は、『最高にイカれたメンバー認定』をもらって、蝉原あたりに回収されたと考えた方が丸いか……」
「悪神セミハラユーゴは、師が滅したはずでは?」
「はははははは。笑かすじゃねぇか。あいつが、そう簡単に死ぬワケないだろう。蝉原勇吾は、全宇宙最悪の生命力をもったゴキブリだ。『しぶとさ』と『鬱陶しさ』で他に並ぶ者がいない究極の害悪。たとえ銀河が滅んでも、余裕で生き残る害虫の中の害虫。病原菌の中の病原菌」
「……な、なるほど」
と、そこで、また、先ほどとは別の百済がやってきて、当然のように、センに最高儀礼をぶちかましてから、平に耳打ち。
何か資料を手渡した後、
センに対して、さよならの最高儀礼を経て、闇に溶けていく。
その一連を見たセンは、
「平、あいつらに言っておけ。いちいち、俺に頭下げんでいいって。あと、お前にだけ伝えるんじゃなく、俺にも直接伝えろって。伝言ゲームは、無駄に時間がかかるだけだから」
「そういうわけには、参りますまい」
「なにがやねん。全然問題ねぇだろ」
「はてなく尊き師の玉音を直接賜う栄誉は、そう易々と得られるものではございません。よほどの成果を叩き出した傑物でなければ、とてもとても。本来であれば、天下ごときでは、その尊き龍顔を視界にとらえることすら、そう簡単に許されることではありません。今は、緊急事態ですゆえ、仕方なく――」
「……もういい、もういい………『脳漿が炸裂しているとしか思えない戯言』はそこまでだ。これ、シャレで言ってんじゃねぇぞ。ガチで言ってんだ。……イイ加減、理解してくれや、まじで」
ため息混じりに文句を口にしてから、
センは、平に、
「で? なんの連絡だ?」
「――『この上なく尊い永久事変』の直後に、『謎の失踪』をしている者が、ちょうど89名存在することがわかりました」
「うん、言いたいことはいくつかあるけど、まず、一番大事なことから行こう。お前ら、あの面倒ごとのこと、そんなキモい言い方してんの? やめて、キショいから。ゲロ吐きそう。あの出来事は、『蝉原厄介編』とかでいい」




