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【コミカライズ】センエース~舞い散る閃光の無限神生~  作者: 閃幽零×祝百万部@センエースの漫画版をBOOTHで販売中
永久閃光A章 この上なく尊き命の王センエース。

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4話 しょっぱい噛ませ犬。

4話目ぇ!


 4話 しょっぱい噛ませ犬。


「もし……この2億年という地獄の……100万倍を積める人がいるとしたら……ふ、ふふ……俺は、その人に、どんな感想を抱くんだろうか……わからないや。わからないよ。わかるわけがなかった……敬愛、崇拝、心酔、狂信……違うね。そんな安い感情じゃない。もっと、こう……もっと……深く、俺は……」


 言葉を探す。

 表現方法を模索する。

 その結果、蝉原は、


 ――どんな言葉であっても、この想いを表すことは不可能だという真理に辿り着く。


 自分の本音という迷路を彷徨いながら、

 蝉原は、


「……『積んだ時間の量』では絶対に敵わないね。どうあがいても、その領域での勝負に勝ち目はない。誰であっても」


 現実を見つめて、


「しかし、じゃあ、どこで勝負しようか」


 虚空を睨みながら、

 未来を模索する。

 その瞳には、絶望の色がないわけじゃない。

 が、しかし、どこかで、自分の可能性を信じている色。

 それが残っていたから、蝉原は、ギリギリのところで灰になっていないのだ。


 ――蝉原は、


「大丈夫……大丈夫だ……目はある……可能性の芽は、まだ摘まれていない」


 必死に自分に言い聞かせている。

 この『常軌を逸した時間地獄』という絶望の底で、

 蝉原の魂は、まだ、戦っている。


「蝉原。もう諦めよう。お前はよくやった。もう十分だ」


「何をやったんだよ」


「ん?」


「俺は、いったい、何をやったんだ? これまでの人生で、『何かを成し遂げた』と言う記憶は一切ないんだが」


「……」


「俺は何もやっていないよ。何者にもなれずに、ただ、『しょっぱい噛ませ犬』の役目を無難にこなしてきただけだ。それは、何かを成したとは言わない」


「まあ、社会一般の視点においては、確かに、何かを成したとは言わないかもしれない。しかし、私は、『蝉原勇吾は、立派に己の勤めを果たした』と認識する。だから、もう、ゆっくりとおやすみ」


「……妙に優しい言葉ばかりを使うなぁ、と思っていたけれど、お前、俺の心に負荷をかけて、訓練効率を上げようとしているな」


「……バレたか」


「余計なことをしなくていい。不愉快だ。俺は俺の根性だけで、セン君を超える。お前のサポートはいらない」


「貴様の感情を考慮する余裕はない。『2億年もの時間を積める器』は、センエースをのぞくと、貴様だけだ。『他の誰か』や『改造コピー』に同じことができるとは思えない。貴様は私の希望。だから、注ぐ。それだけの話」


「……」


「蝉原勇吾。貴様の言う通り、貴様の中にある可能性の芽は、まだ摘まれていない」


「……」


「がんばれ、蝉原勇吾。貴様がナンバーツーだ」


「ふふ……まあ、いいか……いまさら、この程度のみっともなさで、ごちゃごちゃ言う気もないさ……」


 一度鼻で笑ってから、

 蝉原は、ゆっくりとした動作で、

 こぼれ落ちてしまった『自分の灰』を両手でかき集めて、ソレを、口元に持っていくと、迷わず、ゴクッと、飲み干した。


「はぁ……」


 深く息を吐いた時、

 蝉原の灰化は止まっていた。

 まだ、ポロポロと、残りカスの灰が落ちているが、根幹となる魂魄は、正常の機能を取り戻している。


「センくんを知らなかったら、絶対に無理だった。誰よりもセン君を知っている俺じゃなかったら、確実に、ここで終わっていた。感謝したいね、センくんに。まあ、この絶望を味わう羽目になったのは、センくんのせいだから、感謝するのもおかしな話なんだけれどね。……けど……そうだな……どうしても、感謝せずにはいられない」


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自作コミカライズ版深淵1話(37話)公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
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