2話 俺ぐらいは俺を否定しないであげたい。
2話目ぇ!
2話 俺ぐらいは俺を否定しないであげたい。
「最終固有神化を経験できた。おかげで、俺は『センエースを殺せるイメージ』を明確に持つことができた。どのぐらい強くなればいいのか、それがハッキリと見えた。……あと、セン君の輝きを民衆に見せつけることで、『俺的に優れた人材』を見つけることもできた。第二~第九アルファには89人の反逆者がいる。この89人の濃度は半端じゃない。セン君の、あれだけの輝きを見ても、しかし、反センエースの反骨精神を剥き出しにできた者。その異常性、きっちり、俺の器にさせてもらう」
「代償のある布石。その一手を否定する気はないが、あまりにも血を流しすぎていると思うのは気のせいか?」
「血ぐらい、いくらでも流すさ。なんせ、俺の相手は『理想の英雄センエース』だ。生半可な覚悟じゃ、立ち向かうことすら出来ない。……肉はあますことなく全部切らせる……そのぐらいのイカれた覚悟を積んでおかないと、彼の骨を断つことなど、とうてい不可能」
「ふむ」
「心配いらない。問題ないよ、ソル。今回の戦いで、ちゃんと見えたから。俺はセンエースに勝てる。必要な『量』を積めば、俺はセンエースを超えられる」
「強がりにしか聞こえないが?」
「それは、すごいことじゃないか。センエースを敵に回していながら、強がりを言えるなんて。そんなこと、他の誰にもできやしない。これは、俺にしかできない不可能だ」
あえて、田中トウシの決め台詞をパロっていったのは、決して、『シャレ』でも『負け惜しみ』でもない。
本気の覚悟、
決死の宣言。
「もちろん、今の俺のままじゃ、口だけのハッタリにもなれない。と言うわけで、俺も、ここから積むことにするよ。あの地獄の3兆年以上に過激でサイコな毎日を」
「残念だが、もう修理スピリットは残っていない。あの3兆年で全て使い切ってしまった」
「修理スピリットは必要ない」
「?」
「今度は、『灰化無効』のバグを解除した『完全通常モード』で行かせてもらう。ソレなら、修理スピリットは関係ないだろう? 俺の根性だけが全てだから」
「……貴様では耐えられない。私は貴様を認めているが、しかし、あえてこう言わせてもらう。貴様ごときに出来ることではない。センエースが200兆年を積めたのはセンエースが『とびっきりの特別』だから。『センエースができたことだから自分も』……などと考えるのは、お門違いもはなはだしい」
「あんまりごちゃごちゃ言うなよ、ソル。暇なやつに見えるぞ」
「……」
「そんなにムキになって、俺の脆さを肯定しなくとも、耐えきれず灰になったら、そのまま放置してくれればいいさ。できれば海に流すぐらいのことはしてほしいけれど、まあ、贅沢は言わないさ」
「……」
「俺の強がりは、所詮、『俺ぐらいは、俺を否定しないであげたい』っていう、たったそれだけの悲しい虚栄心でしかない」
「……」
「ソル。流石に俺も、セン君と同じことができるとは一ミリも思っちゃいない。言われるまでもなく、200兆年は無理だ。ソレは流石に不可能。100兆も無理だね。50兆も厳しい」




