101話 環境破壊は気持ちいいゾイ。
本日の2話目です。
101話 環境破壊は気持ちいいゾイ。
蝉原は、『すでにセンエースに憎悪を向けている者』で、かつ『より高い存在値を望んで鍛錬を続けてきた者たち』の中から10万人ほどを無作為に選別すると、パチンと指を鳴らした。
その瞬間、選ばれた者たちの存在値が、3倍以上に膨れ上がった。
どれだけ努力してもなかなか上がらなかった存在値が、一気に膨れ上がったのを感じた10万人の中の大半が、歓喜と驚愕ののち、蝉原に対し、深い感謝の念を抱いた。
彼・彼女らの『強さに対する欲望』は本物。
『強くなれるなら、他の全てを捨ててもいい』と本気で思い、強さを追い求め、けれど、『才能の不足』から、壁を越えることができず、ずっと燻り続けたものたち。
彼らの欲望は膨大であり、その欲望を叶えてくれた蝉原に対し、当然、信仰心が湧き上がる。
蝉原は、自分とセンの映像を民衆の心に投影させるだけではなく、『願いがかなった彼・彼女たちの歓喜の感情』も共有できるように調整する。
現状の正解がイマイチ見えていない民衆も、
その一連をもって、『蝉原が、とんでもない化け物であること』は理解した。
「わかっただろう。俺はすごい神様なんだ。だからこそ、センエースに狙われた。センエースは、『俺を殺した経験値』を求めている。彼は無限の力を求めているんだ。彼は『最強』という概念を妄執している。最強になるためなら、俺や君たちの迷惑などおかまいない。ひどい神だと思わないか?」
民衆の支持を得ようと、センエース・ネガキャンに余念が無い蝉原。
そんな彼の横で、センは、
一度、目を閉じ、グっと奥歯をかみしめてから、
覚悟のこもった目を開き、表情を、犯罪者ヅラに固定すると、
「んー、今の蝉原の言葉に間違っているところは一個もないな。確かに俺は最強を妄執していて、他者の迷惑など顧みない。俺以外の誰が苦しもうが、そんなことは知ったこっちゃない」
などと、素直な暴言を吐く。
その言葉は民衆の耳に届いているので、
『センエースに対する不信感』がグっと底上げされる。
これ幸いと、蝉原は、怒涛の追撃をかましていく。
「まだ俺の言葉を信用できない者が大勢いるようだから、ここでさらに、俺の発言が嘘ではないということを君たちに見せよう。これから見せる映像は、これまでにセンエースが実際に口にした発言をまとめたものだ。――覚悟してほしい。君たちの王がいかにひどい神であるか、今から君たちは目の当たりにする。最初に、ハッキリと言っておくが、加工は一切していない」
そこで、蝉原はパチンと指を鳴らした。
すると、全員の頭の中に、ぶつ切りの映像が流れる。
それは、センエースの言動を記録したもの。
極悪な表情を浮かべ、最低な発言を繰り返すサイコが、そこにはしっかりと映し出されていた。
――ちなみに『配信されているセンエースの発言内容』は以下の通り。
『イケメンは死ぬべきだ。賢い奴も死ぬべきだ。俺より高スペックな男を全て殺せば、俺が一番になれる。簡単な話だ』
『俺は俺さえ良ければソレでいい。お前らカスどもがどうなろうが知ったこっちゃない』
『俺を崇めろ! 喝采しろ 賛美しろ!』
『跪いて慈悲を乞え! そして俺のケツを舐めろ!』
『お前、もしかして、まだ自分が死なないとでも思っているんじゃないのかね?』
『フハハ! 見ろ、人がゴミのようだ!』
『この世で尊いのは俺だけ! 俺以外は全部ゴミ!』
『この世には2種類の生命体しかいない。俺の奴隷か、俺に食われる経験値か。ソレ以外は存在しない』
『死ねぇ、田中ぁ! 貴様の悲鳴だけが俺の乾いた心を潤す! 泣け! 叫べ! 苦しめぇ!』
『品性は金で買えない? はははは! いらんわ、そんなもん! 金で買えないものは、いらなくなった時、売れないからなぁ!』
『メスは全員、俺の性奴隷! オスはキモいから、全員、この世から登録抹消! ソレがこの世界のあるべき姿だ! 俺だ! 俺だけが全てだ! 俺の欲望を満たせない世界など滅んでしまえばいい!』
『環境破壊は気持ちいいゾイ』
『俺が積んできた罪の数を覚えているかだと? ふはははは! 貴様は、今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?』
『金があればなんでもできる! でかい家 いい車! うまい酒! 金金金だ! 俺は金が欲しいんだよ!』
『金は命より重い!』
『幸福は金で買える。これが俺の座右の銘だ』
『世界のものは俺のものぉおお! 俺のものも俺のものぉおおお!』
『お前の最も大切なものは? ――それを奪う喜びをくれないか?』
『今度はウッカリ心臓を潰してやろう』
『所詮、クズはクズなんだよぉおおおお! クズが頑張ったって、頑張ったクズが出来るだけ!』
『さっき、俺は、命乞いをすれば助けてやると言ったな。あれは嘘だ』
『こんなはずじゃなかった! 俺は悪くない!』
『あーあ、みんな死んじゃった。まいっか、別に。俺は生きてるし。俺さえ生きてりゃオールオッケーだし』
『約束でしたよね。地獄以上の恐怖を見せてあげるって』
『俺はスーパーセンエースだ』
『黙れ。俺は常に強い者の味方だ』
『救い料、100億万円、ローンも可』
『犯罪はバレなきゃ犯罪じゃねぇんだ。目撃者全員を殺せば、殺人罪は成立しねぇ。あとわかるな?』
『テメェらは俺の命令だけ、黙って、馬鹿みたいに聞いていればいいんだ! 頭使ったって、どうせ、カスみたいな結論しか出さねぇんだからなぁ!』
『えー、童貞? きもーい。童貞が許されるのは小学生までだよねぇ! キャハハハハ』
『折れた足をいじられると彼は痛いが………俺は痛まない』
『大詰めで弱い人間は信用しない! 管理はできても勝負のできぬ男! 平常時の仕事は無難にこなしても、緊急時にはクソの役にも立たんゴミ!』
『汚物は、とにかく消毒だぁ!』
『なにかしら、俺より優れているところが一つでもある男に人権はない。血便を垂れ流しながら死ぬがいい』
『強い国は弱い国から奪い、資本家は労働者から奪い、政治家は国民から奪う。世の中は奪い合いだ! 奪うか奪われるかなら、俺は奪う方を選ぶ』
『なにゆえ、もがき生きるのか? 滅びこそ我が喜び。死にゆく者こそ美しい。さあ我が腕の中で、息絶えるがよい!』
『だまって遊ばせておればいい気になりおって……虫けらども! 貴様がどれほど非力で、不完全な者なのかを! 嫌というほど思い知らせてやろうぞ!』
『命……夢……希望……そんなものは……この俺が破壊する!』
『たりない脳を最大限稼働してよく考えろ、お前らは豚や牛の命乞いに耳を貸したことがあるか?』
『俺は最強になることだけを考えて、毎日を生きているから! そのためなら、愚民どもから命を搾取することすらおしまない! 狂気の沙汰ほど美しい! で、最終的には、大金とハーレムと、それと、全ての命を下僕にした夢の支配者生活をゲットしたいだけだから! 肉欲と物欲と最強欲だけが俺のジャスティス!』
『もっと、ビシっとした技はないの? ないんなら、そろそろ殺しちゃうけどいいか?』
『ゼノリカは俺のオプションであり、俺を輝かせる宝石だ。ようするには、財産であり、コレクションだな。コレクションは、完璧でこそ意味がある。ゼノリカは、俺にとって、食玩のコンプリートセットみたいなもの。一つでも欠けたら価値がなくなる。メ〇カリで売ろうとした際の価格が暴落する』
ソレは、いわゆる切り抜き・まとめ動画であり、
これまでに、センが『実際』に口にした最低ゼリフをまとめた『黒の章』である。




