表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
411/5857

33話 サイコジョーカー


 33話 サイコジョーカー



 『死ななくて、スキル使い放題』という特性は、やはりハンパじゃない。


 それが、8体いるという暴力。

 普通であれば、圧殺されるしかないチート技。


 そう、チートなのだ。

 10兆システムである『エグゾギア』の『時限強化モード』がチートじゃない訳がない。


 だが、センは、言葉どおりの『赤子の手をひねるよう』に、

 フッキの切札である『天影太陰モード』を封殺してみせた。



(こいつは、いったい、なんだ……どういう存在なんだ……)



 体が震えた。

 恐怖が膨れ上がる。


 フッキは、ようやく理解する。


 先ほどの、天影を封じた動きは、それまでのソレとは格が違っていた。

 ハッキリ言って見えなかった。

 何も分からなかった。


 ゆえに、気付く。


(まさか……今まで手を……)


 そして、その気付きは、

 当り前のように、真実へと届く。


(バカな……そんな……ありえ――)


 ここまでのフッキとの闘いで、センは、メッタメタに手を抜いていた。

 もうこれ以上ないってくらい、余力なく全力で、手を抜いていたのだ。


 本気の欠片も見せちゃいなかった。

 いや、ある意味で本気だった――が、決してフルパワーではなかった。

 遊ばれていただけだった。


「ありえない、ありえない、ありえない……なんだ、どうした……俺の現実は、いったい、どうした……これは、まさか、夢か? 俺は神の夢を見ているのか?」


 違う。

 ゴーレムは神様の夢を見ない。


 これはただの現実。


 『存在値数十兆という神のゴーレム』が、

 アクビまじりにボコボコにされているという現実。


「絶対にありえない!! こんな現実は存在しない! 絶対にぃいい!」


「現実を拒絶するのも結構。その結果、切り開ける未来もなくはない。だが、当然、『目と耳をふさいで喚くだけ』じゃ何も変わらない。現実が気に食わないというのなら、変えるために行動してみろよ」



「うるさい! だまれぇええ! 上位者ぶるなぁあああ! 不快だぁああ!」



「ぶってんじゃねぇよ。俺はお前より上なだけだ」


「うるさぁあああああい!」


 フッキは、そこで、オーラを増幅させる。


「くそがぁあああ! ナメんじゃねぇえええええ!」


 バチバチとエネルギーを膨らませて、


「これで終わりだとでも思ったか! バカがぁ! むしろ、これからなんだよぉおお! ここからが俺だぁあ! 俺こそがぁ! 真理を体現する最強ぉおお! 全てを超越した、聖なる死神ぃい!」



 全てを取っ払い、

 自分を解放させようと、


「エグゾギア! お前の全てを寄こせ!」


 ――叫ぶ。






「サイコジョーカーッッ!!」





 ついには、エグゾギア最大の切札を投入。

 究極の時限強化スキル『サイコジョーカー』。

 コレと比べれば、他の強化技など児戯に等しい。


 サイコジョーカーの発動により、爆発的に上昇していくフッキの存在値。

 フッキの目の前に立ちふさがっていた『限界』という名の巨大な壁を、容易く何枚も超えていく。

 極限を超えて、先へ、先へ、先へ――


 ――だが、



「っっっ!! ぬぉ!! うぼはぁ、おえぇえ!! ――か、解除、解除、解除ぉおお!」



 あまりの圧迫に耐えられず、

 フッキは、すぐさまサイコジョーカーを解除した。



「うぇ、おぇっ! ……はぁ……はぁ……うぇっ! おえ! うぅうう……ぃいいい!」



 転がり、のたうちまわって、妙な緑の液体を吐き散らかす。

 普通に引いてしまう、無様極まりない姿。



 そのザマを見届けながら、センは言う。


「サイコジョーカー、きついよなぁ。俺も、使った事があるが、一分ちょっとしか持たなかった。俺で一分だから、お前じゃあ、5秒と持たないだろう」



 サイコジョーカーは、爆発的に機体性能を上昇させるが、使用している間、システム発動者の精神と肉体に、おぞましいほど強いストレスがかかる。

 それは、もはや耐えられるものではなく、

 神ですら、使用中はまともに戦う事など出来ない。



 つまり、サイコジョーカーは、

 もうハッキリ言ってしまうが、


 ――ただの『死にスキル』である。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ