80話 誰も邪魔することはできない、俺と君だけの……二人だけの世界。
80話 誰も邪魔することはできない、俺と君だけの……二人だけの世界。
「さすがだ、セン君。君はいつだって、俺の予想を超えてくる」
「お前もそうだよ、蝉原。まさか、俺以外の人間で、兆を積める奴がいるとは思っていなかった。『常軌を逸した時間との触れ合い』は、俺だけの特権だと自惚れていた」
センは、本気の賞賛を蝉原に投げかける。
「蝉原、俺は、この世で唯一、お前の気持ちがわかる男だ。俺以外に、お前の気持ちが理解できる者は一人も存在しないだろう」
「存在しないだろうね。ここから見える景色は、俺と君だけの特等席。誰も邪魔することはできない、俺と君だけの……二人だけの世界」
「……本当に、よく頑張ったな。蝉原。冗談じゃなく、ガチで、尊敬してやるぜ」
「嬉しい評価だね。君以外の誰にどんな賞賛をされようと、俺の心は一ミリたりとも動かないけれど、君からのメッセージは、俺の全身を興奮と歓喜でブルブルと痙攣させる。セン君。君がいてくれて本当によかった。モノクロで無味無臭に等しかった俺の退屈な命を殺してくれた。君は俺に飛び方を教えてくれた。とても苦しかったけれど――『積み上げることしか出来なかった日々』は、本当に苦しかったけれど、でも、おかげで『飽くことない震える時間』を満喫できている」
そこで、蝉原は、
全身に力を込めて、
「セン君。刮目してくれ。そして 受け止めてくれ。これが 『永き』を積んだ俺が……たどり着いた世界だ」
そう言うと、
精神を集中させて、
「――極蟲神化――」
ベースに固有神化を置いて、
「――究極超神化3――」
究極超神化3で安定性を確保してから、
「――究極超神化8――」
最高級のナンバリング神化で厚みをもたせると、
「すぅ……」
そこで、大きく息を吸って、
「真醒・究極超神化7!!」
蝉原も、たどり着いていた。
真醒の深部。
真醒・究極超神化7。
そんな最果てを組み込んだクアドラプル神化。
聡明な輝き。
カリスマの粋を集めたみたいな、特異な荘厳さ。
センエースとは方向性が違う輝き。
センエースでは永遠に届かないキャパシティ。
ドス黒いのに美しさがにじむファンタジスタ。
『完璧なキモさ』に届いたエンターテイナー。
「……センくん……どうだい……俺は……輝いているかな?」
その問いかけに対し、
センは、チョケることなく、
「……ああ、お前は、本物の光だ……イカれた根性があって、アホのセンエースなんかよりもはるかに才能があって、舞い散る閃光とは比べ物にならないぐらい見た目がよくて、神界の深層を統べる暴君よりも断然カリスマがある。……惜しいな。それで精神性がまともだったら、文句なしで、お前に、『キン〇ボンビー』を押し付けるんだが」
「よかったよ。精神性がまともじゃなくて。……おかげで、君の敵でいられる。何よりも尊い特等席を独占できる。この地位だけは誰にも譲らない。たとえ、他の全部を奪われたとしても、この場所だけは、死に物狂いで守り抜く。何があっても、最後の最後までしがみつく」
着々と、トゥルーエンドに近づいてきておりますね。
決死の想いでたどり着いた『完璧な最終回』に、
世界はいったい、何を見るのか。
センエースは、一体、どういう領域に立つのか。
ぜひ、最後まで見届けていただきたい!!!




