71話 全人類関西人化計画。
71話 全人類関西人化計画。
「たとえ、お天道様とセンエースさんが許しても、ソレ以外の誰かしらが、『許さない』とかナメたこと言い出す可能性がなくもないと思うから、そういう逆風の対策も、しっかり考えつつ、まっすぐに頑張れ、田中トウシ。お前がナンバーワンだ。ゼノリカの今後……たくしたぜ」
「どさくさに紛れて、ワシに神帝のポジションを押し付けようとしとるとこ、悪いけど、ワシが王になるんを許してくれるんは、センエースさんだけで、お天道様ふくめ、他の全員がもれなく反対してくるから、絶対に無理やで」
「世の中に不可能はあんまりない。結局のところは、才能と根性がモノを言う。俺の根性に、お前の才能が合わされば無敵だ。2人で力を合わせて、反対勢力を効率よく根絶やしにしていくんだ。そうすりゃ、田中トウシ独裁政権を樹立させることも容易い。これで、お前の悲願である、全人類関西人化計画を推し進めることができるぞ。やったね、トウシちゃん。関西弁の使い手が増えるよ」
「その田中トウシって人、オモロイやっちゃなぁ。なんで、そんな頭悪い計画、考えてんねやろ。何がしたいんかサッパリわからへん」
「てかさ、トウシきゅん。マジの話、お前が王をやるべきだと思うんだぁ。ほら、王ってさ、賢い奴がやるべきじゃん? となると、『セン何とか』って凡人じゃダメだろ。だって、あいつ、頭悪いもん。脳を並列に働かせるってことが出来ないんだよ。終わってるよね。あのカスと比べて、田中さんの賢いこと、賢いこと。これは、もう、ぜんぶタナてぃん一人に任せるしかないと思うんだぁ」
「だから、仮にワシがやろうと思っても、配下全員から反対されるからできへんって言うてるやん。ほんま頭の悪いやっちゃなぁ。みんな、お前が王やないと納得せん」
「いや、俺に関する記憶がないときは、お前がシッカリと推されていた。つまりだ。記憶さえ奪ってしまえば、お前が王になれるってことだ。と言うわけで田中。今こそ、約束を果たす時だ。ほら、あいつらが轟烈閃化に覚醒した時に、魂の契約をかわしただろう。忘れたとは言わせない。なんせ、あの時、俺は、土下座までしているからな。というわけで、約束通り、あいつらから俺に関する記憶を根こそぎ奪いとれ。お前の、圧倒的力を駆使して、あいつらの記憶を殺すんだ。よきにはからえ」
「悪いけど、ワシ、王様は性に合わん。ほら、ワシって研究者タイプやん?」
「おい、約束と違うぞ」
「約束とは破るものと見つけたり」
「ふざけるな! 俺は、あの時、土下座までしたんだぞ! 約束を破るなら、返せよ! 俺の土下座、返せよ!」
と叫ぶと、田中は、その場で、スっと、土下座をして、
「約束、守れません。ごめんなさい」
と、棒読みクソムーブで、謝罪のていだけをなすと、
そのまま、余韻もクソもなく、スっとたちあがって、
「はい、返した」
「ぐ、ぐぬうう……」
「諦めろ、センエース。ワシは王にはならん」
「じゃ、じゃあ、もうお前が王にならなくてもいいから、とにかく、あいつらの中から俺の記憶だけ消してくれ。俺、イヤなんだよ、勘違い崇拝されるの。裸の王様になりたくないって気持ち、わかるだろ? だから――」
「あ、むりむり」




