17話 ふじこ!
17話 ふじこ!
「もう、まじでぇぇ?! せっかく5兆かけて磨いた経験値、全部無くしたの? ふざけんなよ。なんでだよ。なんで、あんな、顔面偏差値48のへちゃむくれのために、俺が5兆年を棄てた上で、200兆年も地獄みないといけないんだよ。ふざけんじゃねぇよ。可愛い女の子のためとかなら、まだわかるけど……いや、仮に、相手が世界一の美女でも、流石に、5兆年の損失と、200兆年のおかわりはありえねぇだろ。もう、勘弁してくれよ。もうほんとに、もう、あー、もう」
と、嘆いていると、
そこで、
ヨグが顕現して、
「まさか、200兆年という毒々茨道を選ぶとは、流石に予測できなかった。今まで、私は、貴様の変態ぶりに関して、『コレだけ長い時間付き合ってきたので、流石にそこそこ把握できている』という気になっていたが、どうやらそれは勘違いにすぎなかったらしい。貴様の異常性は私ごときに理解できる範疇にない」
「今からでもキャンセルできないかな? クーリングオフって一週間ぐらいは猶予があったよね? 今すぐ取り消し宣言すれば、契約解除できるよね? できないとおかしいよね?! できない場合は法律違反で訴訟だよね??!!! ねっ!!!!!」
「貴様の『世界に対する献身』には、いつも恐れ入る。貴様が救おうとしているのは、ヌルだけではない。女たちだけでもない。この世に存在する全ての生命の希望足らんとする、その狂気の姿勢。ほとほと恐れ入る」
「だめだ、こいつ、なんか壊れてる。訳のわからん妄想を垂れ流すばっかりで、一ミリも話にならん」
などとごちゃごちゃ言っている間に、
ハスターが現れて、
「……センエース、契約の時間だ」
などと、前回の5兆年の時と、全く変わらない言葉を投げかけてきた。
「どうやら、タイムリープは問題なく成功したようだな。今回は何回目だ? 私の存在値が、理解できないレベルで上昇しているから、もしかすると、そろそろ、2周目のゴールが見えている頃合いだったりするか?」
「……聞いて驚け、ハスターさん、今は、脅威の0回目だ」
「……ゼロ? ん? どういう意味だ?」
「言葉通りだよ。リセットされて、振り出しに戻った。だから、今はゼロ回目ぇええ、あははははー」
「ふり……だし……? 何を言っている? そんな予定はなかったはず」
「ああ、そうだ! ねぇよ、予定には! つまり、今は、想定の範囲外! そして、コレから俺は200兆年を積むのだ! 200兆だぞ! すごいだろぉ、あははは! ひゃははhshshshs! しあqwせdrftgyふじこlpゃしゃyしゃややややややややくぁwせdrftgyふじこlpややゆうあううあうす!!!」
壊れ方が半端ないセンを見て、
ハスターは怪訝な顔をするばかり。
なんの生産性もない時間が少し過ぎてから、
天才がひょっこりと顔を出して、
「タイムリープ、どうやった? うまいこと、いけた? いい感じに殺された?」
と声をかけてきたので、
センは、
「聞き飽きるにも程があるそのセリフを、俺はコレから200兆年、聞き続けるのか……耳が腐るどころの騒ぎじゃねぇな」
「あん? 200兆? なんの数字?」
「俺はなぁ、今日までに5兆6000億年積んできたんだがなぁ。それを燃料にして、今度は200兆年頑張るつもりなんだよ。どうだ、すごいだろう。褒めろ。称えろ。喝采しろ。賛美しろ。そして、這いつくばり、死で償え。おのが罪を」




