90話 ふふん。どうだ、ウチのセンは頭がおかしいだろう?
月末処理で、めちゃくちゃてこずっており、
今日も、おそらく遅くなりますので、
朝に2話投稿します。
本日の1話目です。
90話 ふふん。どうだ、ウチのセンは頭がおかしいだろう?
「2周目は、案外、サックリとクリアしてたな。3周目も途中までは順調だったんだが、疲労骨折のように、積もりに積もった負荷に耐えきれなくなった感じだ。今のセンは心を殺して、自分を保っているといったところ。これは、かつてのセンがソウルゲートの後半戦でもやっていたことだな。あの時は、堕ちただけだが、今のセンは自力で、『空』の状態に入り込んでいる」
「……」
「ちなみに言っておくと、センエースは追加で5周するつもりらしいぞ」
「……ご……っ」
「ふふん。どうだ、ウチのセンは頭がおかしいだろう?」
「……なんでお前が自慢げ?」
「これだけ一緒にいると、『情の湧き方』にも深みのあるコクとキレが出てくるというもの。それに、センエースは『全ての命』の王。『すべての命』の父。つまりは『私の父』でもあるということ。これだけ尊い親を自慢に思わない配下はいないだろう」
「……ん、あ……記憶、回収できた……マジで、あいつ、3周目やん、きっしょいのう……もう、怖いんですけど」
記憶を回収した田中は、『センの突出した異常性』に対し、改めて、正式にドン引きをかましてから、
「あの男だけは、ほんま、常に、ワシのド肝を抜いてくるな。信じられへんわ。頭おかしい。このままやと、ほんまに追加の5周もこなせそうやし」
「こなせそうではない。センエースならば確実に完遂する。センエースは別格なのだ。ヒーローとしての面構えが違う」
自慢げに、鼻高々にそういうヨグを尻目に、
田中は、普通に引いていた。
★
――3周目終了時点でのゼノリカの存在値は以下の通り。
存在値
センエース 9700兆
田中 9999兆
シューリ 2300兆
アダム 1600兆
ミシャ 1500兆
平熱マン 870兆
ゾメガ 790兆
三姉妹 平均570兆
九華 平均500兆
十席 平均280兆
楽連 3000億~2兆
百済 5000億~2兆
沙良想衆 2000億~1兆
かなり爆上がりしているが、
流石に、最近は伸び悩んできている。
センと田中は、『1京の壁』を前にしてもがき、あがき、苦しんでいるといったところ。
正直、『2周目終了時点の存在値』と今で大差はない。
1兆年かけて、2%か3%程度伸びただけ。
配下たちの数値も、ちゃんと膨らんではいるが、最近は、停滞気味。
異常な根性を持つセンや、異常な潜在能力を持つ田中は、どうにか、『1京の壁の前』までたどり着くことができたが、他の面々は、『実質的経験値(センエースが乗り越えてきたような絶望)』と『根本的資質(田中のような天才性)』の不足から、どうしても、なかなか殻を破れずにいる。
――自分を含めたゼノリカ全体の伸び悩みを前に、
センは頭を抱えていた。
(ヤベェな めちゃくちゃ頑張ってんのに、全然伸びねぇ)
イメージ的には、減量末期のボクサー。
極限まで体重を落としてしまったせいで、1グラム落とすだけでも狂気を必要とする。
脳がちぎれるほど水を我慢して、一日中、運動しまくっても、10グラムも落ちない。
センの心境的には、ソレの数兆倍のしんどさ。
『経験値効率』を求め続けた結果、無間地獄の向こうぶちに辿り着いた修羅。




