85話 やっぱり、センエースがナンバーワン。
4000話到達記念、一日5話投稿、
本日の3話目!
85話 やっぱり、センエースがナンバーワン。
「お前さぁ、本当に俺を不愉快にさせることに関しても天才だな。そんなに全方位で天才である必要ないと思うんだが。てか、なんで、その天才性を、俺を愉快にさせる方向で発揮できんの?」
「ワシもお前のことが嫌いやからやと思うで」
「はぁ? ふざけんな。俺はお前に何もしてねぇだろ」
「同じ属性を持つ同族でありながら、お前はワシでは絶対にできんことを成し遂げた。自分より優れた輝きを放つ魂に、畏怖と敬意を抱くと同時に、無意味な嫉妬も抱かずにはいられない。この『人間としての弱さ』みたいなもんが不愉快でたまらん。つまりは、お前がワシを嫌うんと全く同じ理由で、ワシはお前が嫌いやということや」
一番欲しい言葉を、そのままぶつけられたセン。
しかし、だからこそ、
「こっちが欲しい言葉を予測して、丁寧に整えて一字一句間違わずに諳んじるとは、ほんまに、おたくは、あらゆる点において天才でんなぁ。――けど、だからこそ、とびきり不愉快だぜ。見透かされて、手のひらの上で転がそうとされて、死ぬほどイラつく」
「めんどくさいやっちゃなぁ。ちゃんと言うとくぞ。多少、整えたんは事実やけど、嘘は一個も言うてへんで」
「……」
「ワシは自分が宇宙一の才能を持つと確信しとる。これは不遜でも自惚れでもなく事実。コスモゾーンに刻まれた史実。センエース、お前は、そんなワシの上におる。つまりお前は、事実上の世界一ってことや。テンプレではなく、普通に、ただの本気のメッセージを伝えるから、耳かっぽじれ。――センエース、おどれがナンバーワンや」
「……」
センは、黙ってジッと田中の目を睨んでいたが、からっぽの数秒が経過したところで、ふいに、スっと目をそらして、
「うっせぇ、ぼけ」
と、あえて感情を殺した声で、ボソっとそういった。
★
「しかし、ほんまに、500億回もようやれたな。なんで頭おかしくなってないねん。キモいやっちゃなぁ」
「このセンエース様に向かって、なんて口のきき方だ。俺は、かの有名な銀河の支配者が、世界一と認めたほどの男だぞ。あの、宇宙で一番すごい天才とウワサされる『正統なる銀河の支配者』の『お墨付き』だ。これはすごいぞぉ。もう格が違う。というわけで頭が高い。ひかえおろう」
「それ、どういう情緒で言うてんの?」
と、無駄な会話もそこそこに、
田中は、
「さて、と。ほな、そろそろ、500億回ボーナスについて説明しよか」
そこで、コホンとセキをはさんでから、
「――やったな、センちゃん。お前の頑張りが認められて、もう一周する権利を獲得したで。よっ、このラッキーボーイ」
「……」
「一つだけ言っておく。シュブを殺すにはまだ足りへん。本当に全てを守りたかったら、『ラスト10億回のスペシャル追い込みモード』の状態で、まるまるもう一周……『500億回(1兆年)』がんばれ。センエース」
「……」
「おい、死んだように黙っとるけど、大丈夫か? まさか、あまりの衝撃に失神したとか言わんやろうな。まあ、仮に失神したとしても、叩き起こして現実を突きつけるけど――」




