75話 ギャヒャヒペッ。
75話 ギャヒャヒペッ。
いま、センは、『50を超える数のドリームオーラ・オメガバスティオン』を同時展開し、配下たちを全力で守っている。鼻から鼻血が、蛇口でもひねったみたいに溢れ出て、脳が毎秒爆発しそう。
「あびゃびゃびゃにゃびゃにゃにゃーっ!!」
1秒、1秒を噛み締めながら、必死に、配下たちを守っている。
――その様を見て、
田中は、
「……」
また、無様な涙を流してしまう。
センを見ていると、時折、こうして、涙が出てくる。
別に年で涙もろくなったとか、そういうことではない。
センが関わらない事象で、田中が涙を流すことはそうそうない。
『中身の芯』はともかくとして、
表層上の田中は、
とてもドライで、クールで、スマート。
――つまりは、めっちゃスカしている。
そんな彼でも、涙を流さずにはいられないほどに、センエースの輝きが狂っていた。
田中の溢れ出る涙を見て、
カンツが、
「田中! どうした?! なぜ泣いている?!」
と、デリカシーなく聞いてくる。
田中は、涙を拭いながら、
「言葉で説明するんはムズいなぁ」
と、誰にも聞こえない小さな声量で、ボソっと、そう言ってから、
「体感5年も戦い続けとる現状がしんどくて、辛くて、涙が出てきた。ワシ、泣き虫やねん。メンタルが基本的に、激弱でなぁ」
「ないている暇はないぞ! ハスターが、ついに、本性を出して、異形化し始めた。とてつもないしぶとさだ! あれは削り切るのに、時間がかかるぞ! これまでの倍以上の時間がかかることを覚悟しろ!」
センエースは、どんどん異形化していた。
ストレスで真っ白になった髪の毛が、ついにはボロボロと抜け始めて、肉体にかかった負荷の量が魂の限界を越えたのか、肌も血もグッズグズになってきて、骨も歪んで変形して――
「ギキャキャキャキャ」
ここまで堕ちて、
なお、センは、配下を守ることしか考えていない。
『ただひたすらに、命を張って、どうにか10年耐え切って、未来の自分に全てを託す』――そのためだけに舞う閃光。
「ギャヒャヒペッ」
ぶっ壊れて、
腐って、
歪んで、
「ギャ キュ ギュ」
それでも、
なくさなかったすべてを、
集めて、
「ビー……ロー……ゲン……ザン」
センエースは、最後の最後まで、
抗い続ける。
★
「――……ブハァっ」
意識を取り戻した時、センは、自室で、ゲ〇ムボーイ片手に、
ムーア最終の作成に取り組んでいた。
「はぁ、はぁ、はぁ」
ゲームボ〇イを放り投げ、
深く、何度も深呼吸を繰り返しながら、
ベッドに倒れ込んで、
自分を抱きしめるように縮こまり、
ガタガタと震える。
地獄の10年のトラウマと、
今夜からまた再開する地獄を思うと、
体が、恐怖と絶望で引きちぎれそうになる。
裂けてしまいそうな心と体を、
どうにか、両手でギュっと抱きしめるセン。
ガタガタ、ガタガタ、といつまでも震える自分の体を、どうにか黙らせようと、
『みっともないから、止まりやがれ』と、精神のハッパをかけるのだが、どうしても震えが止まらない。
ヨグとハスターが、いつも通り、順番通りに声をかけてきたが、相手をする余裕は皆無。
ただひたすらに、ガタガタと震えるばかり。
9月17日まで、途切れることなく毎日2話の投稿を続けることができれば、『5年連続毎日2話投稿達成』となります!!
途中で途切れたら、『残念』で終わりですが、達成できたら、イベントをしようと思っております!!
16日の土曜日に前夜祭のイベント、
17日の日曜日に達成記念イベント、
といった感じでやってみようかと思ったり、思わなかったりしております!!
結構大きなイベントにするつもりです。
楽しみにしてもらえたら、
うれしいなぁ( ´ ▽ ` )




