61話 センエースとの約束? ハナクソですよ、そんなもの。
コミカライズ版センエース、
12話配信記念!!
1日10話投稿!
二日目!
本日の3話目!
61話 センエースとの約束? ハナクソですよ、そんなもの。
「ええやろう。その条件で手を打ったる。他の面々は色々言うやろうけど、ワシが黙らせる。ただし、条件は絶対に守ってもらう」
「はい、決まり!」
そこで、センは、田中の背後にいる配下たちに目線を送り、一人一人、指差しながら、
「いいな、いいな、いいな!! ダメだっていうなら、もう、二度と交渉も譲歩もしないぞ!」
と、丁寧に確認していく。
『言質を奪いとろう』と必死。
そこで、田中が追撃するように、
「センエースの頑固さは、もう、ようわかっとるやろ? このまま、『センエースが傷つくのは、イヤだい、イヤだい』と要求だけを言い続けても、時間の無駄やで。『この空間におれる時間』も無限やない。まだしばらくおれるけど、数時間が限度。協議においては、どっかで妥協も必須。センエースは、ちゃんと譲歩の案を提示してきた。こっちも、歩みよる姿勢を見せな『何も決まりませんでした』で終わるで。それでもええんやったら、ワシは別に、それでもええんやけど、お前らが困るやろ。それに――」
と、そこから、
リミットギリギリの数時間に及ぶ、
田中の粘り強い交渉が功を奏した結果、
配下たちは、しぶしぶ、センエースの妥協案を受け入れた。
全員がちゃんと納得し、受け入れたところで、
センは、史上究極にブラックな『とことん悪い顔』をして、
「ヴゥァカどもめぇぇええっ! ひゃはははははははははははははははははぁっ! 貴様らは、絶対に押してはいけない契約書に判を押してしまった! どんな状況になろうと、俺が折れるなんてことはありえない! つまり、俺は永遠に自由ってわけだぁあ! すべてのしがらみから、俺は、ついに、解放された! 俺はもう、二度と、お前らに煩わされることはない! 俺は、今! 究極のパワーを手に入れたのだ! ぐひゃひゃひゃひゃ!」
などと、はっちゃけているセンを尻目に、
田中は、
(……アリア・ギアスを刻んだんは、このアホだけで、『配下連中を縛る鎖』は特にないから、いざとなれば、配下連中は、『ただの口約束』なんか秒で反故にして、『自分らの命を盾にしたテロリズム』を実行に移す気がするけど……まあ、ええか)
心の中で、そんなことを考えていた。
そんな田中の視線の先で、
センは、続けて、
悪い顔のまま、
「俺の『ただのワガママ』に、何千億年も付き合わなければいけない……それがダルすぎるのは、もちろん、承知。騙されて搾取されるばっかじゃ、奴隷は動かねぇ。わかっているさ。だから、メリットもくれてやる。パンとサーカスぐらいはサービスしてやるさ」
そこで、センは、少しだけ、トーンを抑えた。
ほんの少しだけ、真摯な顔で、まっすぐに、前を見つめて、
「必ず、お前たちを、輝く明日に連れていく。『未来に抱く不安』を『完全に消し去ること』は出来ないと思うけれど、『マジで厄介な絶望を殺しつくすこと』なら出来ると思うから。だから、黙って、前を向いてろ。そこには必ず、俺がいる」
そんなことを言われた配下たちは、
心の中で、
『いざとなったら、秒で約束を反故にしよう』
と、最初から確定していた決意を、さらに強い鎖として、自分自身を縛り付ける。
誰一人として、センとの約束を守る気などない。
『センとの約束』など、『無上の狂信』の前では、ハナクソに等しい。
「余計な心配はしなくていい。お前らは俺を使っていればいいんだ。俺は剣であり、盾。そうであることを、俺が、望んでやっている。だから、勝手にやらせとけ。好きでやってることなんだから、周りがとやかく言うことじゃねぇ」




