48話 パワハラがとまらない。
48話 パワハラがとまらない。
(さて、それじゃあ、そろそろ、本気を出してもらおうか。田中さんよぉ。どうせ、俺が30億年、もたもたしている間に、お前は、かなり先に進んでいるんだろう? みせてくれよ。常に俺の100歩先をいく、その世界一の天才性とやらを)
神の王からのオーダーを受けた田中は、
(そこまで懇願されたら、しゃーないな。みせたるわ。ワシの上限を――)
一度、首をゴキゴキっと鳴らしてから、
「――天星神化6」
と、かなり進化した固有神化を見せつけてきた。
突如、圧倒的な力を発揮しだした田中を見て、
周囲のメンツは度肝を抜かれている模様。
だが、そんな『田中の輝き』を前にしたセンは、
(6か。思ったよりおとなしい数字だな。お前のことだから、9とか10ぐらいに辿り着いていると思ったが……拍子抜けだな。落胆したと言ってもいい。その程度で『世界一の天才』を騙るとは、笑止千万。気づけば、ヘソで沸かしておいた茶が蒸発していた。もはや、逆に、いとおかし)
などと、淡々とした口調でうれしげにクレームを言う。
他のメンツとは、田中に対する信頼感と期待度のレベルと格が違う。
(ワシも、できたら、10ぐらいまで行きたかってんけど、5から6になるのにだいぶ時間がかかったからな)
(しょっぱいこと言いやがって。だから、お前はダメなんだ。天才としての自覚が足りない。努力が足りない。てか、そもそも、やる気あんの? 言っとくけど、お前の代わりはいくらでもいるから。みんな言ってくれないだろうから、俺がかわりに言ってあげるけど、お前、みんなに嫌われているから。この給料泥棒の寄生虫が。――勘違いしないでよね。これはパワハラじゃないんだからね。全部、お前のために言ってやっているんだからね)
(もう、完璧なゴミ上司っぷりやな。クソ人間をやらせた時の完成度が凄すぎる。さすがとしか言いようがないな)
センは、言いたい放題言って、多少はスッキリしたのか、
そこで、意識を、生産性の向上に切り替えて、
(ところで、田中さんよぉ。お前、確か、『その気になれば、8も使える』とかなんとか言っていたよな。……『8×固有進化のダブル』とか、できるか? できるならみせてくれ。調整しながらの戦闘はダルい。俺は、今の俺の全力を知りたい。ちゃんと今の自分を理解した上で鍛錬をしたい)
(……いや、ワシも、ワシで、色々と『縛り鍛錬』をやってんねん。8は、特定の条件を達成せんとなれん。7も6もそう。もう、言ってしまえば、正規ナンバリングに関しては、お前が辿りついた場所までが限界)
(てことは、3が限界か? ぬるいな。その程度で『世界一の天才』を名乗るなよ。『世界一の天才』ってのは、もっと大きいんだ)
(さっきから、ずっと知った風な口きいてくれてるけど……お前、トウシさんのなにしってんねん)
(俺に『世界一の天才』を語らせたらうるさいぞ。俺はお前に関しては、ガチ勢の専門家だからなぁ。まず、田中ってのはなぁ……なんというか、その……今のお前よりも、もっと、こう、激しくビビッドで、ミステリアスなファンタジスタで、神秘的なアンニュイが物憂げで、それでいながら、哀愁があって、知らないうちに心奪われそうなメランコリックで――)
(なにをふにゃふにゃ言うとんねん。具体性ゼロのエモーショナリーを並べ立てるだけ。『見たことない映画の感想』でも、もう少しまともなこと言えんで)
明日、明後日、連続で、
一日10話投稿します(*´▽`*)
よければ、読んでください(*´ω`*)