35話 ドリームオーラを底上げするしかない。
35話 ドリームオーラを底上げするしかない。
「瞬間移動で、会場に強制連行されても、動けない状態じゃあ、あいつらが、俺を攻撃することはねぇだろ。俺はあいつらを『無抵抗のパンピーを惨殺するような子』に育ててねぇ!」
「心配すな。ワシが殺す」
「お前が止められるぞ! お前VSゼノリカになるぞ! その状況、意味ある?! いや、なくはないだろうけど――」
「心配すな。お前に操られた振りをするから」
「どういうこと?! なんで、俺、お前を操って、俺を殺そうとしてんの? どういう自殺?! 特殊すぎない?!」
「正確に言えば、ワシは、お前を乗っ取っとるハスターに操られて、お前を殺す」
「ああ なるほど そういう……って、なるほどじゃねぇな。俺、やばいな。待て待て。この状況で、前提を整えていくな。動けないから! このままだと、普通に3000回以上、殺されるから! 本当に、抵抗できねぇから! これは、流石にダメだって! 努力とか根性とかじゃない! ただ、みんなが死ぬだけだから!」
「全滅がイヤなら、死ぬ気で、ダブルに慣れろ」
「……」
「最初に言うとくけど、3000回までは普通に殺す。それ以降は、ワシ自身の決意が鈍る可能性を考慮して、ウルティマ・オートマタを使う。動けん、動けん、とわめくだけやったら、マジで、全滅するから」
「……」
★
田中たちとの闘いが始まって、数日分の時間が経過した。
まだ、『100日分』も経っていないが、
センエースの残機は『200』を切っていた。
この状況でも、いまだ、センは、一歩も動けずにいる。
一応、なんとか、かろうじて、ドリームオーラを張ることだけはできているが、魔力の扱いもうまくいっていないので、性能は微妙。
安定しない魔力とオーラでバリアを張って、ジっと、田中たち猛攻に耐えているという極限状態。
ここまで、2800回殺され続ける中で、センエースは、ドリームオーラの安定運用だけに力を注いだ。
その結果、殺される速度は確実に低下した。
センエースの防御性能は大幅にアップした。
しかし、それでも、ペース的には、1年以内に全滅必至の勢い。
(もっと……もっと……ドリームオーラの精度を上げろ。今は、もう、それだけで十分。つーか、これが限界。――動くとか、闘うとか、それは、現段階だと無理。……ダブルの出力を最大限に活かしたドリームオーラを張ることさえできれば、このリンチに10年耐えることも不可能じゃねぇ……)
バリア系魔法の最高位であるドリームオーラの扱い方だけに特化した時間を過ごす。
動けず、バリアだけ張ってうずくまっているセンを、容赦なく殺し続ける田中たち。
まるで、亀をいじめる子供たち。
浦島太郎はやってこない。
『無抵抗のセンを全員で圧殺する』という、その無慈悲を決行出来ている理由は、田中が『今の操られているセンを殺し切れば、本物のセンが、ハスターから解放されて救われる』と嘘をつき、そんな田中の発言を、センが否定しなかったから。
(……3と真醒のダブルは、エゲつないぐらいの出力がある……うまいこと活かせれば、今の田中達ぐらい、問題なく処理できる……んだが……その出力が大きすぎて、制御できないというジレンマ……)
百転生物語、投稿してあります!
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