11話 イケてるクラスメイト全員からのイジメに孤軍奮闘で耐えている陰キャボッチ。
11話 イケてるクラスメイト全員からのイジメに孤軍奮闘で耐えている陰キャボッチ。
(すべては必然で、すべての運命が、センエースを祝福しとる……ということかもしれん)
(すべての運命に祝福された結果、俺は、地獄の窯の底を這いずり回っている、と。大事な家族に囲まれて、ボッコボコにされる無間地獄に落ちている、と。すごいね、運命の祝福ってやつは。そこらの呪いなんか目じゃないぜ。ちなみに、ちょっと、一回、祝福って言葉を辞書で調べてくれる? たぶん、衝撃を受けると思うから)
そんなセンの嫌味を、田中はまるっとシカトして、
(ちなみに、この三女神は、別に、『武器』として利用しようってわけやない。お前に対する強固な盾として使わせてもらう。大事なものをたくさん持つお前が、とくに大切にしとる三人。彼女らと闘うことはできても、壊すことはできんやろう。便利な盾として、精々、利用させてもらう)
(めちゃくちゃ悪役みたいなこと言っているけど、そのへん、大丈夫か? 人気投票に支障が出るぞ)
(大事なもんを抱えとるんは、お前だけやない。ワシも絶対になくしたくないもんがある。それを守るためなら、何でもする。お前が抱えとる覚悟を、ワシも抱えとるんやと認識せぇ)
(……)
(さあ、はじめようか)
★
それぞれの存在値を、ザっと、言っておくと、
究極超神化を使う配下連中が、だいたい1兆ぐらい。
『閃化ミシャ(業モード)』が23兆。
『閃化アダム(究極完全体モード)』が27兆。
『閃化シューリ(究極超神化5)』が19兆。
『田中(天星神化2)』が25兆。
これを、
センは独りで相手しなければいけない。
ちなみに、
『セン(真醒・究極超神化)』の存在値が、だいたい20兆ぐらい。
磨き上げた戦闘力がハンパじゃないので、どうにかなっているが、数字上の戦力的には、不利とかいう次元ではない。
えぐい差である。
イジメもいいところ。
というか、普通にイジメである。
イケてるクラスメイト全員からのイジメに孤軍奮闘で耐えている陰キャボッチ。
それが、現状のセンエースである。
(……しんどい、しんどい……)
三女神の参戦で、戦場は、なかなか、いい感じに拮抗した状態になってきた。
センは、田中のことは、容赦なくボコボコにできるが、流石に、三女神のことは、同じようにすることが出来ない。
センは『終わっている男』だが、『惚れた女を本気でボコボコにできるほど終わっているカス』ではない。
(田中のバグった部分を破壊するという、俺の真醒・裏閃流……田中の反則的な強さを封じるというのは、まあいいけど、田中の存在値と戦闘力って、バグなしでも、普通に強いから、物量攻撃の中に馴染まされると、だいぶキツいねぇ……)
ほぼタイマンと言っても過言ではなかった先ほどまでなら、普通に対処できていたが、三女神との波状攻撃をしかけられると、さすがに、完璧な対処はできない。
『38人分のスーパーサポートを受けた3女神をオプションにしている田中』。
この脅威はハンパじゃない。
三女神は、田中の指示に従っているわけではないが、どうやら、田中は、三人の特性や性格や行動原理みたいなものを、ほぼ完璧に掌握しているっぽいので、指示を出していないのに、『完璧な陣頭指揮を取っているぐらいの連携』を魅せつけてくる。
彼女たちがどう動くか計算した上での完璧なコンダクト。
時には影に、時にはサポーターに、時にはアタッカーに、
臨機応変に、彼女たちを『活用』する田中。
センは、普通に押されていく。
が、殺し切られるほどではない。
十年間の中で、センは全部で20回ほど死んだが、まあ、そのぐらい。
どう足掻いても3000回死ぬことはない。
――そう思っていた時期がセンにもありました。




