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6話 ナンパ&カツアゲ

 6話 ナンパ&カツアゲ



 ゼンたちが旅立ったと同じタイミングで、

 ソロウ侯の屋敷から五百メートルほど離れた場所にある路地裏から、遠視の魔法を使って、ゼンたちを観察していた『ダーキニィ・パラフュームのシャドー』が、


(パラソルモンねぇ……まあ、あそこ程度なら、『ホルスのシャドーを殺せる奴』が混じっているんだし、楽勝でクリアできるわね。どうせ、ここに戻ってくるなら、わざわざ追いかけなくてもいいかな……ここで待ってればいいわね)


 そんな風に思考した直後の事だった。




「そこのおねーさん、なにしてんのー?」




 背後から声をかけられて、ダーキニィ・シャドーは、鬱陶しそうにマユをひそめた。


 チラと声がした方に視線を向けてみると、


(……ガキか……)


 背後に立っていたのは、『フードで顔を隠した女』を二人つれた青年だった。

 歳は十七そこそこ。

 細身で黒髪。


 妙な雰囲気はあるが、オーラは貧相で、身のこなしも特に警戒すべき点はない。

 連れている二人の女も、スタイルは抜群だが、どちらも大した存在値ではない。


「こんな、人気のないところに一人でいたら、おそわれちゃうよー。たとえば、俺とかにねー」


 言いながら、その青年は、ふところからナイフを取り出してみせた。


「死にたくなければ、持っているモノを、全部、よこしな」


(……はっ……セファイルのチンピラ風情が、天国の一柱であるこの私を相手にカツアゲとは……)


 鼻で笑いながら、



「うせろ、カス。二度と話しかけるな」



「おやおや、立場、わかってるか? これ、見えてねぇの? 刃物だぜ? 光りものだぜ? スパっといっちゃうぜ?」



「消えろと言っている……警告はした。これが最後の警告だ。弱い者イジメはダサいから好きじゃないけれど、ふりかかる火の粉は払うと決めている。……私の前から消えないなら、強制的に、この世から消す」


 ダーキニィ・シャドーがそう発言した直後、

 男の背後にいる龍人の女が、目に血を走らせて、


「カスの影風情が……主上様に対して、ナメた口を……万死に値する」

「アーちゃん、やっちゃえ。いっそ、この世界ごと破壊しちゃえ。オイちゃんが許す」


「許すな! アダム、動くなよ!」




「はっ、それが主の御望みであるならば」

「……ちっ」




「はい、そこの女神、舌を打たないっ」


 プイとそっぽを向くシューリを注意しつつ、


 ――『舞い散る閃光』は、


「ツレがうるさくして悪かったな。こいつらの事は、気にしなくていい」


 そう前を置いてから、こほんと息をつき、


「そんなことより、さっさと、持っているモノを全部よこせ。死にたくないだろ? 忠告しておく。俺を怒らせない方がいい。俺はヤバい。あまりにヤバすぎて、どのくらいヤバいかは言えないが、まあ~、とにかくヤバい」


「……ぁあ……そう……」


 とんでもないバカを相手しているという事を自覚してしまったのか、


(まあ、確かに、運とか頭とか色々ヤバそうだけれど……)


 表情が『違う意味』でクモってきたダーキニィ・シャドー。


 そんな彼女に、『神界の深層を統べる神威の桜華』は追撃する。


「なんだ、その反抗的な目は。よーし、いいだろう。俺の何がヤバいか、具体的に教えてやろう……ったく、難しい注文してきやがって……俺に『俺のヤバさ』を数えさせるなんて、お前もたいしたヤツだよ」


 やれやれと首を振ってから、とうとうと、


「ぇと、そうだな、えっと……まあ、あれだ。とりあえず、悪そなヤツが、だいたい知り合いってところがヤバいな。『最強の超魔王』とか『呪われた暗黒超勇者』とか『産まれただけで世界を滅ぼした邪悪の化身』とか……あと、『神の界隈じゃあイカれている事で有名な究極超神姉弟』とかも知り合いだな、うん。まあ、何が言いたいかっていうと、基本的に、俺はアウトローが過ぎるってこったな。秩序とか規則とか、皆殺しにして生きてきたかんね。それに、経歴もエグいよね。余裕で『中卒』だし、『宇宙一のヤクザ志望』と幼馴染だし、そもそも父親がサイコパスだし、ガキの頃からケンカ三昧で、通算、負けなし。基本、ワンパンよ、ワンパン。ほら、お前も『全宇宙が裸足で逃げ出す究極無敵のエキセントリックスーパーヒーローのセン』って通り名くらい聞いたことあるだろ? そいつは、まさしく俺のことさ」


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