49話 歪み方がマジなセンエースさん。
49話 歪み方がマジなセンエースさん。
「ずいぶんとはしゃいでくれたな! しかし、こうなってしまったら、もう抵抗はできんだろう! 何が起こったか、正直、よくわからんが……ワシらの力が、アウターゴッドの領域に届いたことは事実で間違いない様子……セン、貴様の根性を、叩き直してやろう!」
カンツの叫びを聞いたセンは、
(まあ、お前なら、そういうだろうな……知っていたさ……俺は詳しいんだ……)
などと、心の中でつぶやいてから、
「……ハスター……ここからが本番だ。覚悟はいいか? 俺はできてる」
その問いかけの直後、
センエースが契約しているコスモゾーンレリック『ハスター』が、
怪しい輝きをはなつ。
パァアアアと、確かに、何かが開く音がした。
十席たちの覚醒に呼応するかのように、
ハスターも、ただのGOOコスモゾーンレリックから、
アウターゴッド級のコスモゾーンレリックへと神化する。
「俺が契約している神格は、まぎれもなくアウターゴッド級。つまりは、俺も、お前らと同じ、神代の領域に立っているということ。となれば、何も問題はねぇ。……ステージが同じなら、俺が敗北することはありえない」
そう言いながら、
センは、自分の首を掴んでいるカンツの腕をつかんで、グイっと力をこめる。
出力的には、オメガバスティオン化したハスターの方がかなり上なので、カンツの腕は、ちょっとかたい煎餅ぐらいの脆さでバキリと砕かれる。
「ぐっ」
砕けた腕の痛みに奥歯をかみしめつつ、
即座に自力で欠損治癒の魔法をかけていく。
その様子を尻目に、
センは、オーラと魔力をひねり上げつつ、
『神化ハスター』のスペックを確認していく。
「てめぇらの存在値は8000万ぐらい……対して、俺の存在値は、億をゆうにこえている。25対1という、だいぶ大きな数の差があるが、しかし、存在値にこれだけ差があれば、どうとでもなる……さあ、いくぞ、カスども。邪魔するなら、てめぇらも殺す。そして、田中を確実に殺す。そして、シュブを召喚……俺を不快にさせるだけの、この世界を終わらせる」
そんなセンの発言に、
メインサポーターのヒッキが、渋い顔で、
「……あのさ、セン。君は今、『田中に対する劣等感』から犯行に及んでいる、と私は解釈しているのだけれど……そこに間違いはないかな?」
「ああ、間違いねぇよ。おなじボッチ属性のハイパーキチ〇イシンドロームクリエーターでありながら、スーパーメディアエリートである俺を超えたあいつを、俺は絶対に許さない」
「今の君は、田中を大幅に超えていると思うのだけれど? 現時点では、君が最強だ。主役として持ち上げられたいというのなら、その願いは叶うだろう」
「ハスターが凄いだけで俺はゴミのままだ。それに、放っておけば、田中は、ハスターを遥かに超えていくだろう。あいつほどの天才なら、いつかは、シュブやニャルのような、最高位のアウターゴッドにも届き得るかもしれない。すべての命が平伏する究極の頂点に君臨し、下界を睥睨する田中。それを見上げるだけの俺。……そんな地獄のような未来を拝む羽目になるぐらいなら、全部、まとめて吹き飛ばした方がマシだ」




