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36話 さあ、俺の罪を数えようか

 36話



「弱者が生きていける世界じゃねぇんだよ、ここは。こんな世界に生まれてきた、てめぇの不運を嘆くヒマがあるなら、さっさと死ね。苦しむ前に死ね。その方が……苦しんで、苦しんで、苦しんで、苦しんで、それから死ぬより、なんぼか合理的だろうが。なんで、それがわからねぇ。どいつもこいつもぉ……」






 心が苦しくなるような、鈍い痛みを含む声。


 絞り出したような、勇者の発言を聞いて、

 汚いスラムのガキは、口をぱくぱくとさせて、


「……も、もし……かして……」


 さぐり、さぐり、

 壊れてしまわぬように、


「あな……たは……」


 おそるおそる、






「優しい……ひと……?」




 声が耳に触れた途端、


 勇者の顔が青筋で覆い尽くされる。



「ヘドすら出ねぇ……あまりの怒りで全身が千切れそうだ」



 体の震えがとまらない。

 サブイボがとまらない。

 怖気すら感じる不快感。



「俺が、この手で殺してきた弱者の数を……ここで、数えてやろうか? 何日かかるかわからねぇから、覚悟しろよ?」




「くるしめてきたのは……?」



「あん?」



「……おねえちゃん、お金をとりたてにくる人に……いっつも、いためつけられて……くるしめられてきたの……」



「だから、なんだ?」


「あなたが……くるしめてきたひとは……なんにん?」


「……」


 そこで、勇者はニタァっと笑う。





「数えたらキリがねぇぞ。覚えているだけで、1000は超えている」






 悪意を数える。


「キ○タマをすりつぶしてやったことがある。いい声で泣いていたぜ」


 己の悪辣さを語る。


「ヨメの指を一本ずつ切って、ダンナに食わせてやったこともある。最高のショーだった」


 積み重ねてきた業を並べる。


「そうそう、最高だったのは、アレだ。右腕を固定して、左腕を引っ張るんだ。ギチギチ、ギチギチと愉快な音がしてなぁ、最後はブチっと千切れる。見ものだったぜ」


「それは」


「おう。なんだ? どんな言葉で俺を非難する? 生半可じゃ、俺には届かねぇぜ」




「……どういうひとたちに、やったの?」
















 百人以上を犯して殺した連続強姦魔。

 貧民のガキを攫ってきてオモチャにしていた貴族の夫婦。

 立場を振りかざして、領民を散々いたぶっていたクソ領主。






 それ以上の事をやっていた連中のことは、

 記憶に残しておくのが、ほんのちょいと、軽くチョビっとだけ、タルかったから、






 ――爪をはがして、忘れてやったよ。






 アリア・ギアスってのは、便利だね。


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自作コミカライズ版35話公開中!ここから飛べます。 『センエース日本編』 また「センエースwiki」というサイトが公開されております。 そのサイトを使えば、分からない単語や概念があれば、すぐに調べられると思います。 「~ってなんだっけ?」と思った時は、ぜひ、ご利用ください(*´▽`*) センエースの熱心な読者様である燕さんが描いてくれた漫画『ゼノ・セレナーデ』はこっちから
― 新着の感想 ―
[一言] こっちに被害が来ないなら悪人でも我が道を行く性格の人は好き
[一言] やっぱりこの勇者性格とかいってることはやばいっちゃやばいけどその思想ってゆうか考えとかは少しわかる気がする
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