32話 師匠のピンチだよ、全員集合。
本日の2話目です。
32話 師匠のピンチだよ、全員集合。
「……普通にやっても勝てないね。こうなったら、困った時の頼りの綱である『禁止魔カード』を使いたいところだけれど……それは、たぶん、許してくれないんだろう?」
「ためしてみたらええやん」
「やめておくよ。『呪い返し』されて終わるだけだと思うから」
そう言いながら、蝉原は、1002号から距離を取って、
「俺単騎じゃ、まったく手が出ないね。すごい、すごい。1000億年も、よくがんばりました。えらい、えらい」
パチパチとおざなりの拍手をしてから、
「仕方ないから、みんな、来てくれる? 俺一人じゃ、陛下が封印を解除するまでの時間稼ぎもできないんだ。ザコな俺を助けてくれると助かる。……言うまでもないけれど、もちろん、君らに加勢を依頼しているのは、俺のためじゃなく、陛下のためだから、そこんところ、勘違いしないように」
などと、そんな発言の直後、
蝉原の背後に、8つのジオメトリが出現する。
そして、その8つのジオメトリの奥から、
禍々しい力をもった化け物が、キッチリ8体出てくる。
その中の一体である赤髪の悪魔娘が、
「かはは! てめぇは、本当にゴミだな、蝉原ぁ! たかが、『ザンクのパチモン』ごときに手も足もでねぇとは! 無様にもほどがあんだろ! てめぇみたいなのが、師匠とか恥ずかしくて、誰にも言えねぇ!」
続けて、『白と黒が織りなす奇抜なドレス』に身を包む美女が、
「ほんまに酷すぎるやろ。無様すぎて、マジで無理。ウチ、ほんまに、あんたのこと嫌いやわぁ」
もはや、フランクを通り越して、『強めの嫌悪感』しか感じさせない態度の弟子たち。
虫を見る目で蝉原を見ている彼女たちの横で、『蝉原ではなく、1002号を注視している、ピタピタナース服のヒーラー』が、
「ずいぶんと成長しているようですわね。さすがは、陛下の因子を持つ者。カケラを持つだけでも、1000億年の修行に耐えられるようになるとは……本当に、とんでもない御方」
続けて、ミニスカポリスみたいな恰好のクールビューティが、
「当初の予定では、オリジナルを超えることはありえなかったはず。そして、1002号の根幹となった1001号は、その数字以外、他のレボリューションズと、何の違いもない。にも拘わらず、陛下のシンボルナンバーを持つというだけで、異常覚醒を果たし、蝉原をも圧倒してみせるとは……やはり、1001というナンバーには、無限の可能性が刻まれている様子」
そこに、楊枝をくわえたジジくさいオッサンが、腕を組んだままの姿勢で、
「性根の方はともかく、蝉原の実力は、最高クラス。素晴らしい。陛下は、本当にすばらしい」
1002号の中にある『閃』の部分だけをほめたたえる、蝉原の弟子たち。
そこで、『デビナ』が、
「陛下がすごいのは当然だけどよぉ、でも、流石に、蝉原の今の力があって、『ザンクのパチモン』にやられるのはダサすぎねぇか!? マジで、どんだけ無能なんだって話だぜ!」
かぶせるようにして、アズライルが、
「もう嫌いっていうか、死んでほしいんやけど。顔見るだけで吐きそう」




