16話 『オリジナルセンエースと田中トウシをぶっ飛ばしたことがある』という実績。
コミカライズ版センエース、9話配信記念!
一日10話投稿!!
4話目!
16話 『オリジナルセンエースと田中トウシをぶっ飛ばしたことがある』という実績。
「ぼくちゃん達が酷いのは確かだけどぉ♪ でも、まあ、全員、センエースよりはマシだけどね♪」
「ああ、センエースと比べれば、俺たちは全然まともだ」
「下には下がいるってのは、いい言葉だよな。おかげで、前を向くことができる」
そう締めると、
三人は、一斉に、ヌルへと襲い掛かる。
★
――闘いは苛烈を極めた。
元主人公たちは、どいつもこいつも、性格が終わっているクズ共だが、
しかし、保有している能力は、どれも神がかっている。
存在値も戦闘力も覚悟も、すべてが並外れている化け物連中。
そんな元主人公たちを相手に、ヌルは一歩も引かずに、正面から殴り合っていた。
『オリジナルセンエースと田中トウシをぶっ飛ばしたことがある』という実績は、伊達じゃなかった。
「――『フォーエバー・フォース・ブリザード』――」
激しい戦いの中、ヌルの背後から、セイバーが、極大の『痛い魔法』を発動する。
色々な意味で『激熱なアリア・ギアス』が込められたその魔法は、ほぼ確実に即死を通し、通せなかった場合は、確定で、何らかの状態異常を付与するという、トンデモ害悪魔法。
ヌル相手に、即死は当然通らなかったが、
別に、それで問題はない。
はなから、そのつもり。
問題なのは、どの状態異常が付与されるか。
「――ちっ。うぜぇなぁ。ちょっと頭がズキズキする」
ヌルの舌打ちを聞いたセイバーは、
ヌルよりも大きな舌打ちをして、
(……『微小頭痛』かよ……一番最悪のハズレだ……くそが……)
心の中で毒を吐く。
その状況を横目に、天童も舌打ちをして、
「ちっ。ゴミみたいなデバフを引きやがって……運の悪い野郎だな……」
と、吐き捨てる彼に、
セイバーは、ガンギレの顔で、
「ぼくちゃんの運が悪いんじゃなく、ヌルの運命力がバグってるって話だからね♪ そんなことも分からないなんて、ほんと、クズニートって頭悪いよね♪ 偏差値どのぐらい? 2ぐらい?」
と、そんな、普通にキレているセイバーに、
カミノが、
「ガキみたいにキレてる場合かぁ! 意識を、ヌルに全集中させろ、カスぅ!」
「一番のカスはお前だぞ♪ ニコトピアとかいう、ぶっちゃけ、他の奴からしたら、クソどうでもいい微妙世界に固執するクソバカ野郎♪ 基本、お前が全部悪いんだから、お前が全部なんとかしろ♪」
と、両手の中指を立てながら言うセイバーに、
天童が、
「いや、一番は、お前だ。間違いなく、お前が一番カスだ」
などと言ってきたので、
セイバーは、天童に向かって、『親指で自分の首をかっきるジェスチャー』をとりながら、
「シャラップ。マザ〇ファッカー♪」
「ああ? 殺すぞ。マジで。本当のガチで」
全員、性格の方が、すこぶる悪いので、
仲良く力を合わせるなんてことは不可能。
ただ一人、黙々と、ヌルに攻撃をしかけている無崎の背中が憐れに思えた。
――『性格が盛大に終わっている』のは紛れもない事実だが、『現状が理解できないほどのアホ』は一人もいないため、みな、口ではごちゃごちゃ言いつつも、ちゃんと、己の役目は全うしている。
それぞれが、それぞれの出来る限りを全力でこなす。
その中核を担っているのがカミノ。
「天童! 天使軍をブリッツフォーメーションで突撃させろ! 後ろは俺がカバーする! セイバァァ! カースソルジャーをデバフガン積みモードで出来るだけ多く召喚してウロチョロさせるんだ! 自律型の運用で構わない! お前自身も自由に動けるようにしておいてくれ! 無崎! お前は……もう、なんか、あれだ! とにかく、いい感じに頑張れ! お前にはどう指示していいかわからん!」




