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27話 傍若無人。

 

 27話 傍若無人。



 ラムドは、リーンの目を睨みつけ、


「魔王国の象徴リーン・サクリファイス・ゾーン。お前の仕事はこの後からだ。今は黙って、俺の第一手を見ていろ」


 リーンの口を片手でふさいだまま、カースソルジャーに意識を向けて、



「スリーピース・カースソルジャー……この偉大なる狂気のマッド召喚士ラムド・セノワール様をナメたクソバカどもに、『お前たちの力』と『テメェらの立場』ってヤツを教えてやれ」



 命令を受けると、カースソルジャーは、いっせいに、各国の冒険者たちに襲いかかった。


「くっ、本気か!」

「迎え撃て! やつは本気だ!」

「ちっ! やはり、邪悪なる波動に目覚めたか!」 


 ここにいる誰もが冒険者。

 その存在値は、最も弱いセアのプッチでも50を余裕で超えている。

 フーマーの使徒を除けば、この中で最も強いのはトーン共和国のカバノン。

 その存在値は、70を超えている。

 サーナも、それに匹敵する強者。

 どいつもこいつも、おそろしく強い。

 すさまじく強い。

 ここにいるのは、この世界においては、圧倒的強者の集まり。


 ――しかし、10秒ともたなかった。


 カースソルジャーは、瞬く間に、国の中枢たる冒険者たちを叩き潰してみせた。


「ぅ……ぁあ……」

「ぐふ……っ」


 誰も殺していない。

 殺しては利用できない。

 両手両足をへし折り、その場に転がす。

 ランク5の回復魔法なら楽に治る程度の傷。

 ランク5の回復魔法の使い手は凄まじくレアだが、一国に一人くらいはいる。


「さて、そろそろ状況が理解できた頃だろうし、話しあいの続きといこうか」


 ラムドは、呪縛の魔法でリーンも動けなくしてから、カバノンのもとまで歩き、


 仰向けで無防備なその腹を、


「ぐぅ! ぬぅ! はぁっ!」


 何度か踏みつけて、


「話しあいの続きだっつってんだろ。返事しろよ」


「ぐ……うぅ……うへぁっ」


「手足をへし折って動けなくしてやっただけだ。会話は出来るだろ。今のも、ちぃと腹筋を圧迫しただけ、内臓を潰した訳でもねぇ。ただ、次、返事をしないなら、腸を踏みつぶす」


 言ってから、もう一度踏みつけると、カバノンは、


「ぐぅう!!」


 歯をくいしばり、怒りに濡れた目でラムドを睨みつけ、


「き、貴様……分かっているのか……戦争に……なるぞ……」


 カバノンは、瞬間的に大きく息を吸って、


「いまなら、まだ! 許してやる! だが、これ以上――ぐぁああ!!」


 ラムドは、そこで、カバノンの肩を左手で抑え、右手で、カバノンの右手首を掴んで、グイっと引き千切った。

 ゴキ、ブチブチィイっと骨や肉がひしゃげる音がした。

 血が吹き出て、砕けた骨が弾けた。


「うぅうう……いぃいい……がっ、はっ……」


 ラムドは、引き千切ったカバノンの腕をムチのようにしならせて、


「がぁあっ!」


 カバノンの頬を打つ。

 2度、3度。

 ラムド的には、いい音がした。

 人の視点では地獄の音色。


「バカだバカだとは思っていたが、まさか、ウチのバカ殿と同じレベルだったとは。そんなバカが序列二位の大国トーンの代表とは、まったく、なげかわしい。……『宣戦布告はもう終わっている』と何度言えばわかる? その脳に詰まっているのはカニみそか? それとも耳が死んでんのか? えぇ、おい。わかるか? 最後にもう一度だけ言うぞ。耳をかっぽじれ。……すでに、戦争は、はじまってんだよ」


「本気で……戦争をする気か……」


「はっ。ぶっちゃけ、戦争にはならないけどな。俺がお前らを潰して終わりだよ。つまり、これは、ただの粛清だ。覇権国家の宰相ラムド・セノワールの名のもとに、『てめぇら人類が積み重ねてきた愚かな過ち』を断罪する」


「何が過ちだ……畜生風情が、御大層な言葉を使いやがって……じ、人類をナメるのも大概にしておけ……存在そのものが世界の過ちであるモンスターよ……」


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